三菱ekワゴン/ekクロス フルモデルチェンジ!新世代ハイトワゴン

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三菱自動車のekワゴンが、約6年ぶりにフルモデルチェンジ。プラットフォームからエンジン、デザインまですべてが一新され、新世代のハイトワゴンとして生まれ変わった。三菱初の高速道路同一車線運転支援技術「MI-PILOT(マイパイロット)」などの先進技術も搭載したほか、新しいSUVテイストのクロスオーバーモデル「ek X(クロス)」も設定され、これまで以上に魅力を高めている。

新型ekワゴンは4代目となるモデル。初代・2代目は三菱で企画・開発されたが、3代目からは日産との共同開発車となっており、新型はその第2世代となる。なお三菱オリジナルだった初代・2代目も、日産に「オッティ」名でOEM供給されており、ekワゴンは初代から日産とつながりが深いモデルだったといえるだろう。

新型ekワゴン

さて6年ぶりに登場した新型ekワゴンは、すべてを一新。新世代の軽ハイトワゴンとして生まれ変わった。また同時に派生モデルとして従来の「ekカスタム」に代わり、クロスオーバーモデル「ekクロス」が設定されたのが大きな特徴となっている。ekシリーズのクロスオーバーモデルとしては、初代に「ekアクティブ」が設定されていたが、それ以来ということになる。

基本的な立ち位置としては、ベーシックな「ekワゴン」は従来とほぼ同等だが、「ekクロス」は大きく変わることになる。先代のekカスタムはスズキ・ワゴンRスティングレーやダイハツ・ムーヴカスタムがライバルに相当したが、ekクロスはスズキ・ハスラーやダイハツ・キャストアクティバが新たにライバルとなる。

またekクロスは、姉妹車である日産デイズとの差別化という役割も担っている。先代モデルは、遠くから見るとekもデイズも同じに見えるほど差が少なかったが、これでは営業上もよろしくない。というわけで、新型ではekとデイズのデザインを分け、特にekクロスとデイズ・ハイウェイスターはそれぞれ異なる個性を持たせている。キャラクターがまったく異なるから、ekクロスとデイズ・ハイウェイスターで迷うこともなさそうだ。

■外観・ボディサイズ

まず「ekワゴン」のデザインコンセプトは「キュート・シック」。スタンダードモデルらしく、奇をてらわずオーソドックスにまとめられた印象だ。全体は張りのある曲面で構成され、安心・安全感ある佇まいと、活き活きした躍動感を、おしゃれさと上質感をもって表現したという。

一方クロスオーバーSUVの「ekクロス」は、「キュート・ビースト」がコンセプト。“かわいい野獣”というわけで、小さいながら存在感は抜群だ。特に目を引くのがフロント周りで、最新のフロントデザインコンセプト「ダイナミック・シールド」を採用した顔つきは、まさにミニ・デリカD:5。SUVらしいタフな印象を強めている。

ちなみに、ボンネット直下の横長のライトはヘッドランプでなくポジションランプ。その下の縦型の部分がヘッドランプで、3灯式のLEDを採用している。上2灯がロービーム、下1灯がハイビームとなっている。

またサイドは、ロングホイールベースを活かしたキャビンシルエットと、彫刻的で動きのあるキャラクターラインで力強さを表現。なお一見オーバーフェンダー風に見えるホイールアーチは、専用のデカールを貼ってSUVらしさを強調したものだ。

ボディサイズはekワゴン、ekクロスとも共通で全長3395mm、全幅1475mm、全高1640mm。最低地上高も155mmで共通している。

■室内空間・パッケージ

室内空間は新プラットフォームの採用で、これまで以上に広くなった。特に後席の広さが拡大しており、足元スペース、前席から後席背もたれまでのスペースはクラストップとしている。また同時に荷室も拡大。54Lの大容量となる床下BOXも備えており、A型ベビーカーも収納することが可能だ。さらに後席シートスライド機構も片手で操作できるよう改良され、使い勝手が高められている。

一方、インパネ周りも7つの収納スペースが設けられており、小物類の収納にも困らない。またシートの座り心地やアクセルペダルの配置も見直されており、運転しやすい環境が整えられている。また大画面9インチのナビが装着できることも大きなポイントだ。

 

 インテリアカラーは、ekワゴンはライトグレー、ekクロスはブラック基調でそれぞれのキャラクターを表現。またekクロスにはオプションで「プレミアムインテリアパッケージ」も設定されており、ブラックとタンのコンビネーションにアイボリー系のアクセントを加え、遊び心のある空間が演出されている。

■パワートレーン・燃費

エンジンは一新され、先代モデルに搭載されていた三菱「3B20」型から日産「BR06」型に変更された。ekワゴンは自然吸気(NA)を搭載、ekクロスはNAエンジンにモーターを加えたハイブリッドと、さらにこれにターボをプラスしたものを搭載している。

新型エンジンはekワゴンに搭載されるNAで最高出力52ps/6400rpm、ekクロスに搭載されるターボは最高出力64ps/5600rpm。最大トルクはNAが60Nm/3600rpm、ターボが100Nm/2400-4000rpmとなっている。

先代モデルと比べると、NAで最高出力は3ps向上、最大トルクは4Nm向上しているが、その数値以上にボア×ストロークが先代の65.4×65.4のスクエア型から、新型は62.7×71.2のロングストローク型になったことで、力強い走りが期待できそうである。

またekクロスに搭載されるハイブリッドシステムは、最高出力2.7psの小型モーターを採用。EV走行モードはなく、加速時にモーターがアシストするいわゆるマイルドハイブリッドだが、加速中に作動条件を満たすと最大30秒間モーターが駆動力をアシストすることで、燃費向上と力強く滑らかな走りを実現するとしている。駆動用バッテリーはリチウムイオンで、運転席シート下に収められている。

トランスミッションは、軽自動車では初となる可変速CVTを搭載。これにより加速時のエンジン音が大きく抑えられ、静粛性が向上するという。

燃費性能は、NAエンジンを搭載するekワゴンが29.4km/L(JC08モード)、ekクロスはハイブリッド車が29.8km/L、ターボ車が25.2km/L(いずれも2WD車)。4WD車はekワゴンが24.6km/L、ekクロスのハイブリッド車が25.4km/L、ターボ車が22.8km/Lとなっている。

先代モデルはNAが25.8km/L、ターボが23.2km/Lだから、NAで約14%、ターボも約9%燃費性能が向上している。

■安全・運転支援技術

先進安全・運転支援技術では、日産の高速道路同一車線運転支援技術「プロパイロット」を三菱名「MI-PILOT(マイパイロット)」として搭載した。システムとしては日産ノートやセレナに搭載されるプロパイロットと同じで、「アダプティブクルーズコントロール(ACC)」、「車線維持支援機能(LKA)」の機能を実現している。渋滞追従完全停止からの再スタートも可能としており、快適なロングドライブが可能となっている。

また先進安全技術は従来同様「e-Assist」として搭載しているが、従来の「衝突被害軽減ブレーキシステム(FCM)」「踏み間違い衝突防止アシスト」「車線逸脱警報システム(LDW)」「オートマチックハイビーム(AHB)」に加え、新たに「車線逸脱防止支援機能(LDP)」が追加された。

このほか「デジタルルームミラー」も軽自動車として初めて採用。ルームミラーを液晶モニターとすることで、雨や夜間、暗い駐車場内等でも後方を確認しやすくなっている。もちろん手動で通常ミラーに切り替えることも可能だ。

なおこのルームミラーには、マルチアラウンドモニター表示機能も付いているが、これに「移動物検知機能」も新たに追加されている。

■グレード・価格

ekワゴンは「G」と「M」の2グレードで、Gは137.7万円(4WDは150万6600円)、Mは129.6万円(4WDは142万5600円)。

ekクロスはターボエンジン搭載の「T」、ハイブリッドの「G」「M]の計3グレード構成。価格はTが163万6200円(4WDは176万5800円)、Gは155万5200円(4WDは168万4800円)、Mは141万4800円(4WDは154万4400円)。

なお「MIパイロット」はekワゴン、ekクロスともメーカーオプションの「先進快適パッケージ」(7万200円:MIパイロット+電動パーキングブレーキ+ステアリングスイッチ)を選択することで装備できるが、ベーシックグレードの「M」グレードは設定がなく装着できないので注意したい。