スタイルから乗り心地まで大幅進化したデリカD:5

試乗レポート

トヨタ・ヴォクシー/ノア/エスクァイア、日産・セレナ、ホンダ・ステップワゴンと人気モデルが居並ぶミドルクラスミニバンだが、その中で独自のポジションを築いているのが三菱デリカD:5だ。本格4WDシステムの搭載による高い悪路走破性、国内ミニバンでは唯一となるディーゼルエンジンの搭載など、ライバルにはない魅力で多くのユーザーからの支持を集めている。

三菱によれば、通常のミニバンは「ライフステージのクルマ」であるのに対し、デリカD:5は「ライフスタイルのクルマ」だというが、それも納得である。子育てに便利だから乗るミニバンは数あれど、オフロードに行けるミニバン、ディーゼルのミニバンは、デリカD:5しかない。他に代わりが無い稀有なモデルなのである。

そんなデリカD:5だが、2月にディーゼルエンジン搭載モデルがビッグマイナーチェンジを受け、大きく生まれ変わった。これまで小改良は何度も受けてきたが、大幅チェンジは07年の登場以来、実に12年ぶりである。

まず大きく変更されたのがフロントフェイス。三菱のフロントデザインコンセプト「ダイナミックシールド」を採用しガラリと印象を変えた。ややおとなしめだったこれまでの雰囲気から一転、存在感をグンと高めている。

ただこの新デザイン、どういうわけか「写真写りが悪い」のが難点だ。そのためか、今のところ見た目に関しては、あまり市場の評価は高いとは言えない。少なくとも万人受けするタイプでないのは確かだが、あまりの変貌ぶりに戸惑っているというのが正直なところかもしれない。しかし、しばらくして街中で見かけるようになると評価が変わってくるはずだ。実際に見ると、意外なほど格好良く見える。

一方、室内のデザインもインパネ周りを中心に大きく変更された。特にエアコンやナビ、シフトなどが配置される中央部や助手席前のデザインを一新。実用車然とした従来型に比べ、洗練されたデザインとなり上質な雰囲気となった。またパーキングブレーキも足踏み式から電動式に変更されている。

さて、大胆デザインのインパクトが強すぎる新型デリカD:5だが、実は中身も大きく進化している。
まず搭載するエンジンは2.2Lターボディーゼルで変更はないが、ピストン、コンロッド、シリンダーブロック等を新設計してフリクションを大幅に低減、また燃焼室の変更や次世代燃料インジェクターの搭載などの改良によって、最大トルクを従来の360Nmから380Nmに向上させている。そしてトランスミッションも6速ATから8速スポーツモードATに変更された。またパワステも油圧式から電動式に変更している。

今回は御殿場を基点に一般道と高速道で試乗してみたが、実際に走行してみると、まず走りのスムーズさにおいて、従来モデルとは比較にならないほど進化していることがすぐに実感できた。従来型はアクセル操作に対してのレスポンスが遅く、全体の動き、特に加速時はモッサリした印象だったが、新型では反応が早くなりストレスがない。エンジン回転もスムーズに上昇し、キビキビした動きになっている。ATが8速に多段化されたことにより、さらに緻密な制御が可能になったことで、ドライバーの意図に忠実な走りが可能になったといえるだろう。発進から高速域まで力強くかつ滑らかに加速し、ストレスを感じさせない。足回りではリヤのダンパーがサイズアップされたことで、乗り心地がよりフラットになったことも走りの心地よさを一段と高めている。

また従来は重かったステアリングの操舵感が軽くなったことも好印象。正確にいえば軽くなった、というより適正になった、というべきであろう。低速域でのステアリング操作もしやすく、街中での取り回し性が大きく向上している。また路面の必要な情報も伝わってくるので、これまでよりも安心して運転することが可能だ。

そして、大きく向上したのが静粛性である。これは、デリカの大きなウィークポイントだった部分。従来型は騒音・振動ともかなり大きく、いかにもディーゼルエンジンという感じであったが、新型ではこれを見事なまでに抑え込み、走行中も室内は極めて静か。加速時も気になる音や振動はない。言われなければディーゼルと気が付かないほどで、乗り心地が改善されるとともに、後席との会話も格段にしやすくなった。

というわけでこの新型D:5、マイナーチェンジ扱いにはなるが、その中身は従来とは別モノといっていいほどの大進化である。オフローダーや雪国ユーザーはもちろん、都市部のミニバンユーザーにもぜひお勧めしたい上質なミニバンである。(鞍智誉章)

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