2006年、三菱からトライトンWキャブ型ピックアップが登場した。RVブームでピックアップが忘れられていた時期だったので、予想外の人気者になった。
忘れられていたピックアップ・トラックは、80年代に流行った時期があった。米国市場で売れるからと、トヨタ・ハイラック、いすゞ・ファスターロデオ、スバル・ブラットなど各社が力を入れたが、マツダ・プロシードにはRE仕様もあった。
当然、日産にはダットサンを名乗るピックアップが存在した。
ダットサンは昭和10年誕生の現存日本最古のブランドで、WWⅡ前には小型車の代名詞だった、世界的ブランドである。
そんなブランドのピックアップの中、最上等仕様のキングキャブADを紹介しよう。撮影は1983年で、米国市場の要求で、Wキャブ+4WD仕様になっている。
今でも続いているタイのピックアップ人気は乗用車の代替えだが(税が安い)米国市場も同じ乗用車ではあるが、スポーティーなアウトドアの遊び目的で好まれたところが違っている。
だから、この手の車は、こよなく乗用車に近ずこう努力が払われていた。が、日本では商用車扱いなので、ナンバープレート区分が{4}なので、一部の愛好家達が不満を漏らしていた。
トップ写真のダットサン・キングキャブADは、お洒落な仕上がりで、黒いボディーにオレンジ色サイドストライプ、荷台にはオ洒落デザインのロープフック、そして四点型ロールバー、ガラスサンルーフ、勿論4WDで、日本値段は129.4万円だった。
当時ダットサントラックのWBは2575㎜だが、Wキャブは2815㎜に伸ばされている。ちなみに全長は4690㎜、全幅1610㎜、全高1720㎜だった。
Z18型直四OHCは1770cc・圧縮比8.8・シングルキャブで90馬力・5MT・パワーステアリングはサーキュレーティングボール型・前輪Wウイッシュボーン・後輪半楕円リーフだった。
Wキャブと云っても二座席型だから、後ろには相当量の荷物が置けた。またリクライニングシートで乗用車感覚の姿勢が取れ、広い居住空間の、ゆったり感も良かった。
前輪のストロークが伸びたせいで、乗り心地はそれまでのダットサン-4WDとはかなり改善され、ロングWBと相まってピッチング減少、コーナリングでの横っ飛びも減少と書いている。
ダンロップSPマックストラックタイヤを履く車輪はオートフリーハブを装備、手を汚さずに前後輪がフリーになるのがありがたい(当時のハブは手動切替型が多かった)。勿論インテリアは乗用車を意識した仕上げが施されていた。
米国西海岸からのピックアップブームで、日本各社から続々と海を渡っていったが、この辺りが切っ掛けになり、乗用車感覚で仕上げたいすゞビッグホーン、そして三菱パジェロが生まれ、日本発祥のRVブームの切っ掛けになったと思っている。