文・写真:吉田直志(automobile columnist)
都心では、例年より早かった桜の開花が終わったかと思えば、早々に夏日を記録するなど、目まぐるしく季節が変わっている。今回のドライブは、それよりも遅れて春を迎え、新緑の季節に移り変わろうとしている、群馬県北西部の利根沼田地域を訪れることにした。同行車として選んだのはスズキの「クロスビー」。乗用車のプラットフォームをベースにしながら、ラフロードへ誘うポテンシャルを与えられたクロスオーバーSUVだ。
今回紹介する群馬県北西部へは、関越自動車道をひた走り、都心から約2時間で到着できる。最近では、北関東自動車道や圏央道が関越自動車道と接続したことで出掛けやすくなり、取材当日も、関東各地のナンバープレートをつけたクルマを多く見かけた。
まず向かったのは、昭和ICを降りてすぐのところにある「道の駅 あぐりーむ昭和」だ。春を待ちかねたかのように、勢いを増した地元産の野菜が並べられた農産物売り場、地元の食材を使った食事処などは、多くの人で賑わっていた。ちなみに、この後に訪れる沼田市にかけて全国でも有数の河岸段丘が広がっており、ダイナミックな景観を愉しめる、群馬県北西部ドライブでは欠かせない「マストスポット」となっている。
続いて訪れたのは沼田市。関越道の沼田ICがあることから、沼田という地名はお馴染みだが、実は真田氏ゆかりの地であることはあまり知られていない。今から約400年前、江戸幕府に領地を没収されるまで真田氏がこの地を治めており、その跡が沼田市内にはいくつか残っている。その代表的なものが「沼田公園」にある沼田城址だ。河岸段丘の上に作られたこの公園からは自然が作り出したダイナミックな風景を眺めることができることもポイントだ。
次に向かったのは「JA農産物直売所食彩の森」。国道120号線を走っていて見つけたスポットだが、JA直営であることも手伝ってか、品数は豊富、かつリーズナブル。観光スポットとしては有名ではないが、個人的にはイチオシスポットとして紹介したいと感じたほど。
この地域には、こうした農産物売り場や道の駅が数多くあり、それぞれに特徴があって、それらを巡るドライブもまた愉しい。「道の駅 川場田園プラザ」もその一つで、ここはそば屋からベーカリーといったグルメ、地元の物産販売所はもちろん、体験コーナーがあるなど、立ち寄りスポットたる道の駅というよりは、1日を堪能できる観光スポットとなっている。
群馬県北西部を訪れたのならば是非とも立ち寄って欲しいスポットが国道120号線を日光方面へと進んだところにある「吹割の滝」。東洋のナイアガラと言われるほどのダイナミックさを持ち、周囲に景観も相まって、激しく流れゆく水に心奪われて言葉を失うほどだ。
ドライブの相棒に選んだクロスビーは1.0Lという排気量ながら、直噴ターボ、マイルドハイブリッドの採用もあって、ストレスをまったく感じさせないパワーと低燃費をバランスさせていたことが印象に残った。軽量化を果たしたボディは、乗り心地の面ではフラット感に物足りなさを感じさせるところもあったが、それもささいなことだ。また、180mmというグランドクリアランスから、ラフロードへと気軽に足を踏み入れられたこともお伝えしておきたい。まさに、どこかへ出掛けたくなる、そんな魅力にあふれていた。
ドライブデータ
試乗車=スズキ クロスビー ハイブリッドMZ
パワーユニット=ガソリン996ccターボ、4WD、6AT
乗車定員=5名
全行程走行距離=約420km
立ち寄りスポット[マップコード]
・道の駅 あぐりーむ昭和[183 413 139*55]
・沼田公園[183 530 397*52]
・道の駅川場田園プラザ[183 688 068*73]
※「マップコード」および「MAP CODE」は、株式会社デンソーの登録商標です。
※ナビの機種によっては、高分解能マップコードに対応していない場合があります。
プロフィール
吉田直志/automobile columnist
四輪駆動車専門誌、デジタルカルチャー誌の編集部を経て、フリーライターに。現在は新型モデルの評価を軸に、自動車雑誌のほか、ファッション誌にも寄稿。
(本稿は2018年4月に新聞「週刊Car&レジャー」に掲載)