SUVらしい力強さを持つスタイルに、広い室内空間と機能的な荷室を持つワゴンパッケージを組合せ、新ジャンルの『小型クロスオーバーワゴン』として開発されたクロスビー。キャッチーなデザインとスズキが得意とする技術やアイデアを満載したモデルとして、昨年末の登場直後から大きな注目を集めている。
エクステリアは、柔らかみのあるヘッドランプやグリルが独自の存在感を表現。全長3・76m、全幅1・67mと5ナンバーサイズのコンパクトボディながら、デザインの妙なのか不思議とそこまで小さなクルマだと感じさせないのが第一印象だ。
インテリアは、フロントガラスの角度を立て、横基調とすることでSUVならではの良好な見晴らしと開放感をもたらす。加えて、見切りも良くボディ感覚も掴みやすいので、どの車格から乗り換えても運転に慣れるまで時間は要さないだろう。
(ファミリーユースにはうれしいリヤシートバックテーブルを採用)
さらに、前後乗員同士の間隔は1mを誇り、大人2名がゆったりと座れ、足元空間もコンパクトカーと思えないほどの広さを実現している。また、後席スライド機構を備え、用途に合わせたアレンジができる。頭上空間やスライドドアの利便性は同車格の「ソリオ」に譲るものの、使い勝手や居住性の高さはファミリーユースにも対応できる実力を持っている。
(用途に合わせたアレンジが可能なリヤシートは、165㎜のスライド幅を持つ)
パワートレーンは1種類のみで、直列3気筒1・0ℓターボに、小型車向けに開発したISGと専用リチウムイオンバッテリーを組合せたマイルドハイブリッドを採用し、6速ATを組合せる。 その走りは想像以上に力強い。発進からもたつきを感じさせず、中高速域での加速レスポンスが良く、どの速度域でもストレスを覚えることはない。メーカーは1・5ℓNAエンジン相当の性能を実現したというが、体感的にはそれ以上のものが感じられキビキビとした走りを見せてくれた。
足元にはこの車格としては大きい16インチタイヤを装着しながら、乗り心地に不快感はなく、おおむねフラットライドを実現。曲がりはじめのロールも少ないので腰高感を感じさせず、ハンドリングも素直でしっかりとしている。居住性の高さも合わせ、ロングドライブもストレスなくこなせそうな一面も垣間見えた。
安全装備はいわゆる自動ブレーキ等の先進装備の他、後退時ブレーキサポートを標準装備する等充実しているが、ACCを採用していないのが唯一残念な点。だが、特徴的なデザインやクラスを超えた使い勝手と走り等、それを補って余りある魅力を持つモデルとして、これからますます人気を集めそうだ。