クロスオーバーSUVは、今や世界中で人気のカテゴリー。スポーツカー〝専売〟メーカーですら、新たにモデルをラインアップに加えるほど。まさに群雄割拠の状態だ。そうした状況の中、昨年12月にトヨタが発売したのが、コンパクトサイズのクロスオーバーSUV、C-HRだ。
第4世代プリウスで初めて採用された新しいクルマ作り、TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)を採用した第2弾であり、プリウスとはシルエットが異なるが、骨格は低重心、高剛性の専用シャーシに、ザックス製ショックアブソーバーを採用するなど、しなやかな乗り味が持ち味だ。
初対面で驚くのがそのルックス。まるで、デザイナーが描いたスケッチがそのまま商品化されたようで、面と線が際立つ造形は、一つの塊から削り出されたようで立体感にあふれ、四つのフェンダーの膨らみを強調しタイヤが大地をしっかりと掴んでいるようだ。寸法は、全長4360㎜×全幅1795㎜×全高1550㎜(4WDは1565㎜)と、立体駐車場の利用も考慮されている。リヤに行くほど下がるクーペのようなルーフラインを持つことから、後席空間はどちらかというとタイトな感じだ。
(左:116PSを発揮する1・2㍑ターボ、右:1・8㍑+モーターのハイブリッドも用意)
パワーユニットは1・8㍑ガソリン+モーターのハイブリッド(FF)と、1・2㍑ガソリンエンジン+ターボ(4WD)が設定され、燃費はハイブリッドが30・2㎞/㍑、ガソリンが15・4㎞/㍑となる(いずれもJC08モード燃費)。開発過程では、グローバルモデルとして各国の異なる道路環境にも順応でき、ドライバーの思い通りにクルマが動き、車速、横G、路面状況を問わずクルマの応答が常に一貫することを目指したという。発売前には、ドイツのニュルブルクリンク24時間レースに出場し完走という偉業も遂げた。
ボディ剛性の高さは、路面の継ぎ目や歩道から道路に降りる時にすぐわかり、段差を乗り越えてもゴトンと1回で収まる。ドライブモードをスポーツに切り替えると、そのおさまりの良さはさらに顕著に感じられる。コーナーで無駄なロールも抑えられ、ブレーキ踏み込み量に応じた期待通りの減速と安定感、軽すぎず節度のあるステアリングでクルマの向きが変わり、クルマが自分の手足の一部になったような感覚を味わえる。
さらに、細かい部分では運転席からの視界の良さ、手を伸ばしたところにスイッチを配置する操作しやすさなど、運転中に感じるストレスを極力なくすことで、ロングドライブでの〝疲れにくさ〟につなげている。クルマの性能と操作環境で走る楽しさを実現したモデルといえる。