「XJ」などの高級サルーンや、ハイパフォーマンスを誇るスポーツモデル「F-TYPE」を揃えるジャガーのラインアップに、初のSUVモデル「F-PACE」が加わった。日本にはガソリン仕様が2モデル、ディーゼル仕様が3モデルの計5モデルが導入されるが、今回はガソリンモデルのトップグレード「S」に試乗する機会を得た。
ガソリンモデルに搭載されるエンジンは、いずれもV型6気筒3・0Lスーパーチャージドだが、Sには最高出力380PS/最大トルク450Nmを発揮するエンジンを搭載。 ひとたびアクセルを踏めば約1・9tある車体をグイグイと加速させ、時速0~100㎞加速5・5秒という性能のポテンシャルの一端を感じることができる。
また、スポーツカーのようなタイトな印象のコックピットは、SUVながら着座位置がそれほど高くなく、手の届きやすい位置に配置されたスイッチ類が安心感をもたらす。その中でも、近年のジャガー車に共通するダイヤル式のシフトが異彩を放っている。
スピードを上げエンジンが3000回転ぐらいになると車内にエンジン音が響き渡り、ドライバーの高揚感を高める演出も心地よい。デフォルトの走行モードでもパフォーマンスの高さを実感できるが、ダイナミックを選択するとステアリングとアクセルレスポンスはよりクイックになり、SUVとは思えない卓越したハンドリングを体感できる。とくにカーブや登坂路が連続するワインディングを走行するシーンでは狙ったラインを正確にトレースし、自らのドライビングテクニックが上がったのかと思うようなクルマとの一体感を見せた。
加えて、Sには可変ダンパーを備えたアダプティブダイナミクスを標準装備。これが、高いフラットライド感や路面への接地感の高さをもたらすとともに、カーブでのロールを最小限に抑えながら高い旋回性能を実現していた。
また、セグメント最大級の2875㎜のホイールベースを活かした後席空間の居住性は抜群に良い。足元スペースに余裕があるのはもちろんのこと、シートバックの高さがしっかりと肩口付近まで確保されているので、しっかりと身体を預けることができ、長時間の移動もまったく苦にならない。この後席をすべて倒せば最大で1598Lという広大なスペースが生まれ、5名乗車の状態でも508Lのスペースを確保。シートアレンジも豊富で、SUVならではの使い勝手も置き去りにされていない。
高い走行性能と実用性を両立するF-PACEはディーゼル仕様で639万円からと、競争力のある価格を実現。群雄割拠のSUVにまた一台強力なモデルが誕生した。