家族で行こう! きままにクルマ旅(2015年11月 紙面掲載)
ダイハツ キャスト アクティバで 静寂を求めて埼玉・飯能へ

レジャー ドライブ

文・写真:吉田直志(automobile columnist)

今回のドライブは、紅葉で賑わいを見せていた山里が、すっかり冬支度を整えた風景を求めて、埼玉県・飯能市を訪れることにした。飯能市街は山里と表現できないが、街中を少し離れ、秩父方面へと向かうと、豊かな自然が広がっている。今回の相棒に選んだのはダイハツ「キャスト」の中でもクロスオーバーテイストを表現した「キャスト アクティバ」だ。

都心から飯能まで、カーナビゲーションを利用してルート検索をすると、中央道を走り八王子ジャンクション経由で、圏央道の青梅ICで下りるルートを紹介される。今回訪れたスポットのひとつである名栗湖までは、距離にして約90㎞、時間にして2時間弱で到着することができる。

ダイハツのキャストシリーズは、ムーヴをベースにしたモデルだが、スタンダードなスタイル、クロスオーバースタイルをもつアクティバ、そして、スポーティな走りを得意とするスポーツの3タイプを展開。デザインやハードウェアにしても共有部分が多いにも関わらず、それぞれに異なる世界観を表現しており、そんな商品性にもトピックがある。

キャスト スタイルのボディを30mmアップさせて、クロスオーバースタイルを表現。プロテクターテイストのエクステリアや丸形フォグランプなどが、SUVを感じさせる

このアクティバは、最低地上高を180mm(4WDは175mm)とし、走りのフィールドを広げられることをアピールする。もちろん、重心が高くなってはいるものの、乗用車的なハンドリングフィールをチューニングしており、クロスオーバーモデルをドライブしているという印象は少ない。そもそも、ベースとなったムーヴにおいて、高い剛性を誇るボディ、質感を手に入れたシャシーなど、軽自動車たるイメージを払拭していたが、キャストではそれらがさらに引き上げられている。もちろん、それは高速道路における直進安定性にも感じられるもの。たとえ、大型トラックが追い抜いていっても、横風が多少強かろうと、外乱に影響されることは少なく、最新の軽自動車のポテンシャルに驚きを覚えた。

趣のある古い橋もあちらこちらで目にした。ちなみに、飯能市には川遊びスポットも数多くある

ルートとしては少々大回りとなるが、はじめに飯能について勉強しようと「飯能市郷土館」を訪れ、山の恵みと鉄道と共に栄えたことを知る。そして、名栗湖へと向かう道の途中にある、関東地域では2番目のスパン長を(支点間の距離の長さ)を誇る「名栗川橋」へと立ち寄った。その後、道はだんだんと上っていく。取材車両のエンジンはターボであり、山道でも不足を感じさせないどころか、十二分を感じさせてくれた。ただ、アクセルを踏んだ途端にトルクを感じさせる仕立てとなっており、過激とはまでは言わないが、ちょっとやり過ぎ感を覚えたほどだった。また、アクティバは、ワインディングが苦にならないどころか、楽しかったことが印象に残った。ロール量を抑えただけではなく、そのフィーリングも上手く躾けられており、グラっというような唐突な動きを見せることはなかった。

名栗川橋の竣工は大正13年。小型車(規制表示は全幅2.2mまで、車両重量2.0tまで)ならば通行可能なRC上路アーチ橋。埼玉県有形文化財に指定されているほか、平成18年度選奨土木遺産に認定されている

今回のメインスポットである名栗湖(有間ダム)周辺には、日帰り温泉施設である「さわらびの湯」、土産物・食事処である「レイクサイドテラス名栗湖」、そして「名栗カヌー工房」などがあり、十分に楽しめる。ちなみに、一般的にダム上部はクルマで走れるところは少ないのだが、ここ「有間ダム」では走ることが許されている。名栗湖を一周できるルートを走ったところ、紅葉がわずかに残ってはいたものの、静かさあふれる初冬の雰囲気を楽しめた。

「レイクサイドテラス名栗湖」という店名のとおり、名栗湖の湖畔にある土産物・食事処。写真は特製肉汁手打ちつけうどん(800円)。土日のみ1日10食限定の有間ダムカレーもオススメ

さらに山方面へと進んでいくと、自然の中で、集団生活や自然体験活動を行なうことができる社会教育施設「県立名栗げんきプラザ」がある。ここには、バンガローやテントサイト(冬期は使用不可)のほか、プラネタリウムもある。今回は、国道299号線へと抜けて、「東郷公園 秩父御嶽神社」へと立ち寄ることにした。ふと参拝していこうと立ち寄ったのだが、神社は山頂にあるために途中368段の階段を上ることになった。苦を伴って上ることが何か御利益に繋がればと、意地とばかりに上ったものの、到着してみれば息切れどころか腿がけいれんしてしまう始末。冬の始まりの静寂に心落ち着きを感じながら、一方では常日頃の運動不足を改めて感じた、そんなドライブとなった。

東郷公園 秩父御嶽神社は木曽御岳山の行者であった開祖により、多くの人たちにもご神徳をと願い、明治28年に分霊。「おんたけさん」との呼び名で親しまれている。駐車場から神社までは、階段含めてかなりの上りとなる

ちなみに、今回のルートのところどころで路面凍結注意の看板を見かけた。これからの時期、気温次第ではノーマルタイヤのままでは厳しいシーンがあるかしれないのでご注意あれ。

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ドライブデータ

試乗車=ダイハツ キャスト アクティバ Gターボ“SA II”
パワーユニット=ガソリンエンジン660cc+ターボ、CVT、FF
乗車定員=4名
全行程走行距離=約240km

立ち寄りスポット[マップコード]

・名栗湖(有間ダム)[91 126 319*67]
東郷公園 秩父御嶽神社[91 280 478*17]

※「マップコード」および「MAP CODE」は、株式会社デンソーの登録商標です。
※ナビの機種によっては、高分解能マップコードに対応していない場合があります。

プロフィール
吉田直志/automobile columnist
四輪駆動車専門誌、デジタルカルチャー誌の編集部を経て、フリーライターに。現在は新型モデルの評価を軸に、自動車雑誌のほか、ファッション誌にも寄稿。

(本稿は2015年11月に新聞「週刊Car&レジャー」に掲載)

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