ダイハツ・キャストは、「生活を彩る自分仕様の軽自動車」をコンセプトに開発され、一つのモデルながらSUVの力強さを感じさせる“アクティバ”、細部のディティールにこだわった都会テイストな“スタイル”、コペンで培った技術を投入した“スポーツ”という三つの異なる個性を持つ。ボリューム感ある台形ボディと愛嬌ある丸型ヘッドライトという愛着がわくデザインを共通させながら、バンパー下部やサイドモールのデザインを変更することで個々の世界観を演出している。また、ルーフは同社独自技術のDラッピングを採用したツートーンカラー化も実現。変えるところ/変えないところを吟味し絞り込むことで、効率的に三つのバリエーションを作り出している。このうち、今回はアクティバ(ターボ車)とスタイル(NA車)を試乗した。
スタイルのエクステリアは、バンパーモールやサイドロッカーモールなど各部にメッキ加飾が施されたことで上質感があり、女性からシニア層まで幅広い人々に好まれるだろう。かたやアクティバはオフローダーのような前後バンパーアンダーガードを採用。また、スタイルに比べ最低地上高が30㎜高く、15インチ大径タイヤの装着と相まって180㎜のロードクリアランスが確保され踏破性を高めた。さらに、4WDにはグリップサポート制御とダウンヒルアシストコントロールを標準装備し、ラフロードでの走りをサポートしてくれる。
インテリアでもインパネトレイの形状(オープン/クローズ)やシート表皮の違いで個性を明確化。さらに、インパネのカラーパネル部分をスタイル/アクティバのキャラクターに合ったカラーをメーカーオプションで設定し、ユーザーの選ぶ楽しみも広げている。
乗り込んでまず気づいたのが、ドアを閉めた時の音が低く重厚なこと。普通乗用車に乗り込んだような感覚だ。シートは厚みがあり、ドライバーの腰まわりをしっかりと包み込む形状で、このシートならロングドライブもいとわないだろう。また、スタイルのシート表皮はスエード調で手触りも良い。
試乗ではターボ(アクティバ)とNA(スタイル)を乗り分けることができた。ターボエンジンは全域でストレスない軽快な走りを見せた。車高が30㎜高いことから大き目なロールも危惧されたがタウンスピードでは全く問題なし。しっかりとした乗り心地だ。
ノンターボ(スタイル)も意外と(?)健闘。ターボに比べアクセルを踏み込む量は大きくなるが、郊外のアップ&ダウンレベルであればストレスなく走ることができる。ここ一番の時は、スロットル開度が大きくなるパワーモードスイッチ(Dアシスト)も効果的だ。
ターボ/ノンターボを問わず共通しているのがハンドリングとブレーキのタッチの良さ。ムーヴ譲りのDサスペンション、Dモノコックを採用していることから、曲がる・止まる、どちらもドライバーの思い通りの動きをしてくれる。
爽快な走りを見せながらもJC08モード燃費はアクティバ、スタイルともにNA車が30・0㎞/ℓ(4WDは26・8㎞/ℓ)、ターボ車が27・0㎞/ℓ(同25・0㎞/ℓ)と、ターボ車もNAに迫る低燃費をマークしている。
1モデルで三つのバリエーションを持つという〝離れ業〟もさることながら、進化する上質化にも目を見張る部分もある。キャストにはハイエンドオーディオに迫る音質のダイヤトーンのサウンドシステムもディーラーオプションで設定。しかも、吸音材や遮音材をもつデッドニングも施される本格派で、ダウンサイズ派を唸らせるアイテムがまた一つ増えたといえる。三つのバリエーションと合わせ、豊富なボディカラー/インテリアカラー設定(含むメーカーオプション)などからも幅広いユーザーを獲得しそうだ。