ストレスフリーで運転がしやすいekワゴン・ekカスタム【試乗記】

試乗レポート

東京モーターショー開幕直前に大幅改良が施された三菱・eKカスタムとeKワゴン。2年に1度のお祭り騒ぎに紛れてしまった感もあるが、両モデルの商品力向上度合いは、これから軽ハイトワゴンでクルマ選び、という方にはぜひ目に留めてほしい1台だ。

大きな変更点は、これまでカスタムにしか設定のなかったターボモデルが、ワゴンにも設定されたこと。長距離移動や高速利用が多いユーザーにもeKワゴンが選択肢になりうるだろう。

さらに、両モデルに共通しているのが安全装備の充実。「G」「T」グレードの予防安全機能付グレードには、従来のeアシスト(低速域衝突被害軽減ブレーキ+誤発進機能)に加え、オートマチックハイビーム、オートライトコントロール、マルチアラウンドモニター(バードビュー機能付)が追加された(これによりグレード名称もセーフティパッケージに変更)。

もちろん燃費も向上している(NAが30・4㎞/ℓ、ターボが26・2㎞/ℓ。JC08モード燃費、ともに2WD)。ターボ車や4WD車には、燃費向上のためアイドリングストップ機構や、アシストバッテリーが採用された。また、NA車には世界初の構造となるローラー付カムシャフトが採用された。シリンダー内の吸気と排気の出入りをつかさどるバルブの頂点は、これまでカムシャフトが直に接していたが、この機構は滑らかなローラーが接するようになり、これでエンジン内のフリクションを大きく低減したという。

デザイン面では、三菱自動車の新しいフロントマスクデザイン、ダイナミックシールドがeKカスタムに採用された。アウトランダーにも採用された新しいフロントデザインだ。メッキグリルはもちろんのこと、バンパーセンターをグロスブラックとすることで、さらなる上質感もプラス。バンパー下、左右のフォグランプまわりがブラックアウト化されたことで、低くワイドな〝面構え〟となった。

フルモデルチェンジ当時の試乗では、NA車(eKワゴン)だとアクセルペダルを大きく踏み込むシーンが多かったので、ターボモデルの追加は歓迎できること。改めてターボ車で市街地を試乗してみると、ストレスを感じさせない走りで、ドライバーの着座位置の高さからくる視界の広さもあり、運転のしやすさがすぐに感じられる。〝ワイドボディ〟の筆者をしっかりと包み込むシートも快適だ。

 

減速時、時速約13㎞で作動するアイドリングストップシステムに違和感はない。やや気になったのが、巡航時にアクセルを緩めた場合、コースティングとまではいわないが〝空走感〟が強く感じられるようになったこと。慣れの問題かもしれないが、燃費向上には致し方ないことか。

メーカー自身〝当たり前すぎて〟声高にアピールしていないが、三菱の軽にはETACS(エタックス)という機能が装備されている。ヘッドライトの消し忘れやドアミラーの出し忘れを防ぎ、車速感応間欠ワイパー、リバースギヤ連動リヤワイパー、オートライトなどを装備し、使いやすさやドライバーのうっかり防止を追求している。軽に自動ブレーキが搭載されだす以前からのことで、軽自動車への〝深い愛〟が感じられる。

 

Tagged