家族で行こう! きままにクルマ旅(2014年9月 紙面掲載)
VW ポロで巡る 埼玉・長瀞の大景観

レジャー ドライブ

文・写真:吉田直志(automobile columnist)

埼玉県秩父山地より東京湾へと流れる荒川が作り出した荒々しい風景と、今ではそこをゆったりと流れる瀞(とろ)とが、まさにダイナミックな風景を作り出している長瀞。ラインくだりやラフティングで有名だが、実は、周辺にはドライブウェイや神社など見どころも数多くある。そんな長瀞ドライブに連れ出したのは、先日、大改良を受け、さらにその魅力を増したフォルクスワーゲン「ポロ」だ。

今回紹介する長瀞、そして、その先にある秩父へのアクセスは、以前は、交通量が多く、距離も少々あることから、行きにくいというイメージがあったかもしれない。しかし、現在では、一部ではあるが道幅も広げられ、また、バイパス的な役割を与えた有料道路が走るなど、アクセスしやすくなっている。関越自動車道の起点である練馬ICから、長瀞の最寄りICである花園ICまでは約56㎞、長瀞駅までは約18㎞であり、まさに、都心からも気軽に訪れることができる観光地だ。

かつての荒川の激しい流れによって浸食され、作り上げられた岩畳。周辺を散策するのもいい

長瀞のスポットといえば、やはり、名勝「岩畳」。秩父鉄道・長瀞駅から歩いて行ける距離にある岩畳は、過去に荒川の激しい流れが作り出した風景。今では、そこを流れる荒川は、長瀞の地名の由来ともなった“瀞”、つまりゆったりとした流れに変わっているが、そんな過去の荒々しさと、今のゆったり感が作り出すコントラストに、自然の雄大さを感じた。

ダイナミックな自然の景観を川面から楽しめる長瀞ラインくだり。少々急流、穏やか、といったルートを選べる

この岩畳付近には、お馴染み「長瀞ラインくだり」の案内所、発着所がある。ここから上流、そして下流へと、二つのコースが設定されており、上流は激しい流れが、下流はゆったりとした流れの中、船下りを楽しめる。冬期は休業しており、今年も12月上旬までの営業となるとのこと。これからの季節は紅葉を眺めながらの川下りがお勧めだ。もちろん、天候や川の流れによっては休業となることもあるので事前にチェックしておいたほうがいいだろう。長瀞駅周辺には土産物屋も数多くあり、また、週末には秩父鉄道でSLが運行されているなど、楽しみは数多くある。ちなみに、長瀞駅のモダンテイストあふれる駅舎も見どころだ。

B級グルメとしてお馴染みの秩父わらじカツ丼(810円)。2足のわらじを模して、カツも2枚/レストハウス皆野の名物料理のひとつ田舎うどん(650円)。打ち立てのうどんは腰があって、とても美味

そんな長瀞駅から、荒川を少しさかのぼったところある「埼玉県立自然の博物館」は、“過去から未来へ 埼玉3億年の旅 そして自然と人との共生”をテーマに、県内の自然をさまざまな角度から紹介している施設。太古の巨大ザメで、ホウジロザメの祖先とされるカルカロドン・メガロドンの模型(約12m)や、周辺に生息していた海獣パレオパラドキシアの骨格標本なども展示されており、見ごたえがある。

長瀞駅の西側、宝登山のふもとにある「宝登山神社」は、古くより火災盗難よけ・諸難よけのご利益のある神社として、多くの人が訪れる。また、宝登山頂まではロープウェイがあり、山頂では荒川の流れはもちろん、秩父の山並みを眺められる。この地域の昔の生活を知りたいと思ったらば、「旧新井家住宅・長瀞町郷土資料館」を訪れるといい。当時使われていた農機具などのほか、旧家が移築されており、昔の様子を伺い知ることができる。

秩父三社の一社である宝登山神社。明治時代初期に再建された本殿には、細かな彫刻が施されている

また、秋の七草、それぞれが植えられた寺が点在しており、それを巡る七草寺めぐりも、長瀞の楽しみ方のひとつ。ただし、狭い道を走ることになるため、クルマで巡るのではなく、歩くか、自転車を利用するほうがいいかもしれない。

旧新井家住宅・長瀞町郷土資料館には、養蚕農家であった旧新井家が移築されており、それも見どころのひとつ

今回、ドライブに連れ出したポロは、その軽快さはそのままに、先代モデルよりもコンフォート感を高め、燃費性能も向上させるなど、そのすべてを進化させていた。特に乗り味、静粛性といった面では、コンパクトカーというジャンルを超えていたほどだ。新しくなった1.2Lターボエンジンのパワーフィーリングも含めて、これで十分、いや、十二分だと感じた。

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ドライブデータ

試乗車=フォルクスワーゲン ポロ TSI コンフォートライン
パワーユニット=エンジン排気量1197cc(ターボ)、7速DSG、FF
乗車定員=5名
全行程走行距離=約260km

立ち寄りスポット[マップコード]

・名勝「岩畳」[150 614 877*44]
・埼玉県立自然の博物館[150 614 099*03]
・宝登山神社[150 612 713*06]

※「マップコード」および「MAP CODE」は、株式会社デンソーの登録商標です。
※ナビの機種によっては、高分解能マップコードに対応していない場合があります。

プロフィール
吉田直志/automobile columnist
四輪駆動車専門誌、デジタルカルチャー誌の編集部を経て、フリーライターに。現在は新型モデルの評価を軸に、自動車雑誌のほか、ファッション誌にも寄稿。

(本稿は2014年9月に新聞「週刊Car&レジャー」に掲載)

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