日産自動車とホンダ、経営統合に向けた協議・検討を開始 2026年8月に共同持株会社の設立を予定

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日産自動車とホンダは12月23日、両社の経営統合に向けた協議・検討を開始することについて合意し、同日、共同持株会社設立による経営統合に向けた検討に関する基本合意書を締結したと発表した。

両社は、カーボンニュートラルおよび交通事故死者ゼロ社会の実現に向けた取り組みを加速させるため、2024年3月15日に自動車の知能化・電動化時代に向けた戦略的パートナーシップに関する覚書を締結し、以降さまざまな領域での協業を見据えた具体的な協議・検討を実施。

2024年8月1日には、より幅広いスコープで協議・検討を進めるため、戦略的パートナーシップの深化に関する覚書を締結するとともに、特に知能化・電動化の要となる、次世代ソフトウェアデファインドビークル(SDV)向けプラットフォームの領域における基礎的要素技術の共同研究契約を締結し、より具体的な協業に向けての議論を推進。

今回は、両社がさまざまな可能性、選択肢を持ちながら継続的な議論を重ねている間にも、両社および自動車業界を取り巻く環境は日々劇的な変化を遂げており、必要とされる技術革新のスピードも加速し続けている環境下の中、グローバルで競争力を保ち続け、世界中のカスタマーに向けて、これまで以上に魅力的な商品・サービスを提供し、存在を期待される企業であり続けるための選択肢として、両社の経営統合に向けた協議・検討を開始することで基本的合意に至ったとしている。

両社の経営統合が実現した場合、お互いが有する知見や人財、技術などの経営資源を融合し、より深いレベルでのシナジーの創出が可能となり、市場環境の変化への対応力を高めるとともに、中長期的に企業価値の向上が期待できる他、日産自動車とホンダの四輪事業、さらにホンダの二輪・パワープロダクツ事業の融合による、“モビリティの新価値を創造するリーディングカンパニー”として、より一層日本の産業基盤の発展へ貢献するとともに、両社のブランドをより輝かせ、これまで以上に魅力的で、革新的な商品・サービスを提供することが可能となる。

両社は、経営統合の円滑な実現に向けて統合準備委員会を設置、協議を集中的に実施し、具体的なシナジー効果については、同委員会での協議・検討、ならびに今後実施するデュー・ディリジェンスの結果等を踏まえて検討・分析を行うが、本経営統合が実現した場合、両社によるシナジー効果を速やかに実現することで、全体で売上高30兆円、営業利益3兆円を超える世界トップレベルのモビリティカンパニーを目指すと述べている。

 

<本経営統合の実現による現時点で想定されるシナジー効果>

① 車両プラットフォームの共通化によるスケールメリットの獲得

  • 両社の所有する車両プラットフォームについて、さまざまな商品セグメントにおいて幅広く共通化することで、商品力の向上に加え、原価低減や開発効率の向上、生産プロセスの共通化による投資効率の向上・コスト削減が見込まれる。
  • 販売台数・稼働台数の拡大により、将来のデジタルサービスも含め、台当たりの開発コストを低減し、収益の最大化を図る。
  • 両社がそれぞれグローバルで販売するICE/HEV/PHEV/EVなどのモデルについて、短期から中長期的な視野で車両の相互補完を加速することで、世界各地の多様なニーズに応え、一人ひとりのカスタマーに最適な商品を提供することで、顧客満足度の向上に繋げる。

② 研究開発機能の統合による開発力向上とコストシナジーの実現

現在両社は、次世代SDV向けプラットフォームの領域における基礎的要素技術の共同研究や、EVのキーコンポーネントとなるバッテリー、次世代EVに搭載を見込むe-Axleなどの主要部品の仕様共通化や相互供給に向けて、取り組みを推進。今回の経営統合後においては、これらの領域に限らず、基礎研究・車両適用技術研究等を含めた研究開発機能全体において、より一体化した研究開発と協業を行うことで、両社の技術的知見を最も効率的かつスピーディに発展させ、開発力を向上し、重複開発を統合することで開発費も削減していくことを目指す。

③ 生産体制・拠点の最適化

両社が保有する生産拠点やエネルギーサービス拠点などの事業拠点を最適化し、工場の相互利用を進め、工場稼働率を向上させることで固定費の大幅な削減を目指す。

④ 購買機能の統合によるサプライチェーン全体での競争力強化

②および③で開発・生産能力を最適化していく効果を最大化するため、取引先と協調しながら購買活動と共通部品を共同調達するサプライチェーンの高度化と最適化を進め、さらなる競争力の強化を目指す。

⑤ 業務効率化によるコストシナジーの実現

両社の業務関連システムや間接業務等の統合、機能の高位平準化による大幅な経費削減が見込まれる。

⑥ 販売金融機能の統合に伴うスケールメリットの獲得

両社の販売金融機能を統合し、事業規模を拡大することで、両社の自動車ユーザーに対して、自動車のライフサイクルを通した新たな金融サービスなど、モビリティの多様な利用形態の提供を目指す。

⑦ 知能化・電動化に向けた人財基盤の確立

両社の有する人財は両社にとってかけがえのない財産であり、本経営統合に伴う変革のためには、さらなる人財基盤の確立が必須でり、今回の経営統合後に、両社での人事交流や技術交流を通じた人的スキルの高度化や、それぞれの人財マーケットへの相互アクセスにより、優秀な人財のさらなる確保が期待できる。

 

経営統合の方式および株式上場について>

両社は、今回の検討の結果および、日産自動車のターンアラウンドの取り組みが着実に実行されることを前提に、各社の株主総会の承認、および本経営統合を行うにあたり必要な関係当局の許認可等を得ることを条件として、共同株式移転により両社の完全親会社となる共同持株会社を設立し、日産自動車とホンダの両社を、共同持株会社の完全子会社とする予定となっており、また一方、日産自動車・ホンダそれぞれのブランドについては共に存続させ、等しく発展させていく予定。

  • 新たに設立を検討する共同持株会社の株式については、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」)プライム市場に新規上場(テクニカル上場)申請を行う予定。上場日は、2026年8月を予定している。
  • 共同持株会社の上場に伴い、日産自動車とホンダの両社は上場廃止となる予定となっているが、両社の株主は引き続き、本株式移転に際して交付された共同持株会社の株式を、東京証券取引所において取引できる予定。
  • 本株式移転における株式移転比率は、本合意書の公表日前一定期間の各当事者の株式の終値の平均値も参照しつつ、デュー・ディリジェンスの結果及び第三者算定機関による株式移転比率の算定結果等に基づき、本経営統合に関する最終契約書締結時までに決定する。
  • 共同持株会社の株式上場日、および日産自動車・ホンダ両社の上場廃止日については、東京証券取引所の規則に従って決定される予定。
  • 共同持株会社及び完全子会社となる両社の組織体制については、本経営統合後に効率的かつ競争力の高い事業運営が可能な組織体制を構築することを目的とし、特に研究開発機能、購買機能及び生産機能等の統合等を含む、シナジーの創出に向けた最適な体制を、今後統合準備委員会で協議・検討していく。

 

日産自動車株式会社 取締役 代表執行役社長 兼 最高経営責任者 内田 誠氏のコメント>

本日、私たちは経営統合に向けた検討を開始することとしました。これが実現すれば、私は両社の強みを掛け合わせることで、1社だけでは成し得ない、そしてこの2社でしか生み出すことのできない新たな価値と、これまでにないクルマの楽しみを、両社のブランドをご愛顧いただいている世界中のお客さまに提供することができると確信しています。

 

本田技研工業株式会社 取締役 代表執行役社長 三部 敏宏氏のコメント>

自動車業界が直面する厳しい環境変化を乗り越えていくには、ホンダと日産自動車が長年培ってきた知見・人財・技術などの経営資源の融合による、モビリティの新たな価値創造が必要だと考えています。今回は、まだ検討を開始する段階であり、経営統合を決定したわけではありませんが、それぞれが独自の強みを持つ、この2社の掛け合わせでしか生み出せない化学反応により、唯一無二の”モビリティの新価値を創造するリーディングカンパニー”となることを目指し、2025年1月末をめどに経営統合の可能性について方向性を見出すべく、両社で検討を進めていきます。

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