トヨタ自動車と堺市の2者は10月17日、現場状況が分かりにくい火災や交通事故等の緊急を要する事案に対して、現場付近を走行する車両のドライブレコーダーの映像を活用する共同実証実験を10月25日より開始すると発表した。
今回の共同実証実験では、協力企業と連携して堺市消防管内を走るバスやタクシー、トラックなど約400台に搭載したドライブレコーダーからの映像を活用し、消防車や救急車などの緊急車両が現場に到着するまでに詳細かつ正確な情報を得ることで、迅速かつ適切な活動方針や消防部隊投入、資機材準備等、被害を最小限に抑えることを目的としている。
トヨタが開発した「選択した車両のドライブレコーダーの映像を閲覧できるシステム」を堺市消防局の消防指令センターに設置。119番通報だけでは把握しきれない現場の状況をより正確に把握するために、消防指令センターのオペレーターが選択した付近の車両の映像を閲覧する。
なお、同システムは2022年12月から23年8月まで消防指令センターへ試験的に設置し、9カ月にわたる検証を実施。現場の映像をあらかじめ把握することで、レスキュー隊の迅速な人命救助や渋滞を回避したルート選択によるスピーディーな現場到着の実現等の有効事例にも繋がったとしている。
また、映像に映り込んだ歩行者等のプライバシーへの配慮や、個人情報の取り扱いについては、社外有識者の意見を得た他、堺市民にウェブ調査やヒアリングによる堺市民の意見も踏まえた適切な対応を実施。今後は、システムの改良やプライバシーへの配慮などの議論を重ね、他自治体との検証も検討すると述べている。
【システムの情報の流れ】
- 119番の通報内容から消防指令センターのオペレーターが事故などの発生場所を特定
- 消防指令センターのオペレーターが現場の映像を必要とする事案か判断
- 2で必要と判断した場合、システムにて事案発生地点を検索
- GPS情報を利用し、付近を走行するドライブレコーダー装着車両を選定
- 対象車両のドライブレコーダー映像を取得
- 消防指令センターでドライブレコーダー映像を確認し、迅速で適切な対応につなげる
【トヨタのプライバシー・個人情報への配慮】
- 堺市消防局より閲覧要望のあった地点・時間のみを提供
- 同局で映像は保存せず、専用システムを介し、一時的な閲覧のみを可能にして提供
- 映像に映り込んだ人や車両について個別に追跡したり、その行動特性や移動傾向等を分析したりすることを禁止