日産、EV「サクラ」からの給電でマンション・ビル向けの自動給水ユニットを稼働させる実証実験を実施

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日産自動車、日立ビルシステム、日立産機システムの3社は10月12日、電気自動車(EV)「日産サクラ」からの給電で、マンション・ビル向けの自動給水ユニットを稼働させる実証実験を実施したと発表した。

日立ビルシステムでは、EVをビルの非常時電源として活用できる可能性に注目し、停電時にEVと建物をつなぐV2X技術によりエレベーターに給電を行い、継続利用を可能とするシステムを開発し、2023年7月に発売した。

EVからの給電で停電時のビル設備利用を可能にするV2Xシステムの普及に向け、日産と日立ビルシステムの協創第3弾となる今回の取り組みでは、停電時にマンションで水道が使えなくなる不便をなくすことを目的に、マンション・ビル向け自動給水ユニットを製造する日立産機システムの協力の下、日産サクラのバッテリーを使用して自動給水ユニットを動作させる実証実験を実施。

具体的には、日産サクラのバッテリーをフル充電状態から、外部給電が可能なバッテリー残量10%まで利用し、日立産機システム製の自動給水ユニット「ダイレクト・ウォータエース」を稼働させ、21,171ℓの給水を実証した。21,171ℓは8,468人分の1日の水分摂取量、またはトイレ4,234回分の水量に相当するという。

日立ビルシステムと日立産機システムは今後、今回の実証実験結果を踏まえ、V2Xシステム対応の自動給水ユニットの詳細仕様の検討を進める他、日立ビルシステムと日産は、V2Xシステムの普及に向け、取り組みを推進するとしている。

【実証実験の概要】

  • 実験目的:電気自動車の電力を利用した自動給水ユニットの実稼働データ計測
  • 実験環境:自動給水ユニットの稼働電力を電気自動車からの給電に切り替え、電気自動車のバッテリーが放電限界を迎えるまで給水を実施。定格出力7.5KWの自動給水ユニットを使用。20階建てのマンション(高さ75m)への送水と同等の水圧で実施。
  • 使用車両:軽電気自動車「日産サクラ」(バッテリー容量20kWh)
  • 使用ポンプ:日立産機システム製の自動給水ユニット「ダイレクト・ウォータエース」
  • 測定項目:自動給水ユニットの連続運転時間および送水量、電気自動車のバッテリー残量

【実証実験の結果】

  • 連続稼働時間:1時間31分
  • 送水量:21,171リットル(8,468人分の1日の水分摂取量またはトイレ4,234回分の水量) ※人間が飲食等から1日に摂取することが必要な水量を2.5リットルとして計算(出典:厚生労働省) ※一度に流す水の量を5リットルとして計算(出典:一般社団法人日本レストルーム工業会ホームページ「トイレQ&A」)
  • バッテリー残量:100%⇒10%

 

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