最近、一度決めたニューモデル（新規ないしはフルモデルチェンジ）投入日が先送りされる案件が多発している。コロナ禍による半導体を中心としたサプライヤーからの部品の供給や安全対策上の問題に直面したりしているからだ。
これまではニューモデルの発表、発売日が決まると、扱う販売店に知らされ、周知徹底のためのプレキャンペーン、事前の予約受注活動が開始され、増販攻勢に勢いがつけられたりするケースが多い。
ところが直前になって延期になったりすると、その勢いがそがれたりして、販売店には出鼻をくじかれる。つい最近発生したケースだと、新型車のパンフレットを作成し、事前の予約受注を開始して間もない時に、突然の延期が提示され、パンフレットが回収されてしまった。人気の高い戦略モデルであるから、扱い店のショックは大きく、収益に大きな影響を与えているに違いない。ユーザーも残念に思っているに違いない。
影響は多方面に及ぶ。事前のパンフレットを作成している業者はやり直しを迫られる。報道関係のコマーシャルも余分な費用がかかる。
責任はいろいろ発生するだろう。自動車メーカーの場合もあるし、様々な業者の流通上の問題もあるだろう。ところが直接影響を受ける販売店やユーザーにとってはマイナスばかりで、それをカバーできず泣き寝入りするしか手がないのは残念である。
自動車メーカーの責任は、今後問題の発生に対して十分な配慮が必要である。販売店はユーザーに対して謝罪するだけだが、問題発生の原因を自動車メーカーの担当者が何も説明していないので、頭を抱えているのが現状である。
（遠藤 徹）
