首都圏を中心に週末ディーラーを回ってみると、ショールームのテーブル席は多くの来店客で埋まっているのに驚かされる。来客の相手にしているのは、つなぎを着たサービススタッフと営業担当者である。サービススタッフは車検や定期点検で訪れた来店客に応対している。
営業スタッフにとってはコロナ禍で成約した新車の納期が遅れ、収益にならないので、頭を抱えているが、従来に比べるとかなり改善されている。半導体部品を使う度合が比較的少ないコンパクトカーのガソリンNA車や軽自動車だと、成約後3カ月以内で納車が可能になっているのである。
上級以上のハイブリッド車、電気自動車、プラグインハイブリッド車は半年から1年以上も待たされる状況にあるが、それでも徐々に回復傾向にあり、今秋までには半年以内に改善される見通しとなっている。
ただ、今回のコロナ禍において多方面の産業界にとって教訓になっている側面もある。自動車産業にとってコストダウンを優先するあまり、人件費の安い、発展途上国の業者からの部品輸入に頼ってきた。納期の遅れは死活問題である。
これを避けるには、部品や電子製品ユニットの輸入流通態勢を見直す必要がある。国内製に切り替えることで、コストアップは免れないが、リスクを減らすことも考慮する必要がある。自動車は電動化、自動化、安全対策強化のニーズによって価格が高騰化している。それでも売れ行きはそれほど落ちていない。
残価設定クレジットやリースなど、ユーザーの負担感を減らす努力が功を奏している側面もある。電動化、安全対策強化など、自動車づくりに新しい波が押し寄せている今は、従来のサプライヤーからの部品供給態勢を見直すチャンスでもある。
(遠藤 徹)