【エコツアーに行こう!】貝山地下壕ガイドツアー

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近くて遠い歴史を地下壕で振り返る

横須賀市のほぼ北端、海に臨む工業地帯の一角にある小高い丘が貝山緑地。ここには約700本ものアンズの木が植えられていて、花見に訪れる人々で賑わう季節はもうすぐだ。

だが、同時にここの地下には、第二次大戦中に作られた広大な地下壕が残っていることも知られている。これはかつてこの一帯にあった横須賀海軍航空隊が、空襲に備えて戦争末期に司令部機能の移設や物資保管のために掘削したもので、総延長は2kmにも及ぶ大規模なものだ。

小さな丘全体に地下壕が掘られている。安全のためヘルメットをかぶって中へ(アクションおっぱま提供)

軍事機密だったこともあって、具体的な内容については解明が進んでいないところが多いが、三つの地区に分かれた内部には仕切りの壁、かまど、コンクリートの構造物などが残されていて、実際に使われていたことがうかがえる。

戦争史跡というと、どうしても「負の遺産」というイメージでネガティブに見られがちだが、これも現代日本につながる歴史の一コマ。当時のことを知る人々も少なくなって来た今、各地で戦争遺跡について啓蒙と保存、活用が進められ始めているのだ。

照明などは設置されているが、足元には凹凸があるし、細部を観察するためにも懐中電灯が必要。両手が空くヘッドランプがあるとよさそう(よこすかシティガイド協会提供)

見学については、東日本大震災後に一部崩落があったことから立ち入りが制限されていたが、安全性の確認とコースの整備を経て、予約制のガイド付きツアーに限り再開されている。

参加は中学生以上に限られるが、安全対策として貸与されるヘルメットをかぶり、懐中電灯を手に、80年を経た暗闇の中へ踏み出そう。そこは、これからも伝えるべき、貴重な歴史遺産なのだ。

このほか、近くの夏島都市緑地内には、かつて東京湾内にあった人工島、第三海堡の探照灯、観測所、砲台砲側庫などの構造物が移設されている。こちらはもっと古く、明治から大正にかけて首都防衛のために作られたものだが、竣工まもなく関東大震災で損傷、放棄された。

暗礁化して海難事故が相次いだために平成になって撤去されたが、その一部が移され、神奈川県指定重要文化財および日本遺産の構成文化財ともなっている。こちらは毎月第1日曜日に予約なしで見学でき、希望すれば無料でガイドも受けられる。

(上田 泰久)

【アクセス】横浜横須賀道路・朝比奈ICより約30分。第三海堡遺構手前に有料駐車場あり

開催予定の貝山地下壕ガイドツアー ※いずれも第三海堡遺構の見学を含む

◆アクションおっぱま主催

4月9日(日):13時~16時〈申込締切〉3月25日(土)
6月11日(日):13時~16時〈申込締切〉5月25日(木)

定員各回16名(1班8名)、参加は中学生以上、懐中電灯持参のこと。見学料:大人1500円、中高生1000円。申込はHPの見学申込フォームより

【問い合わせ先】アクションおっぱま ☎046-866-2790
【ホームページ】http://www.action-oppama.org
【見学申し込み】http://www.action-oppama.org/kaiyama-order/

◆NPO法人よこすかシティガイド協会主催

4月8日(土):10時~12時〈申込締切〉3月24日(金)
4月22日(土):10時~12時〈申込締切〉4月7日(金)
5月13日(土):10時~12時〈申込締切〉4月28日(金)
5月27日(土):10時~12時〈申込締切〉5月12日(金)

定員各回最大30名、最少催行人員6名。参加費:1名700円。申込はHPの申込フォームより

【問い合わせ先】NPO法人よこすかシティガイド協会 ☎046-822-8256
【ホームページ】http://yokosuka.kankoh-guide.com/kaiyama-chikagou-irai-guide-chirashi.html#貝山地下壕
【見学申し込み】http://entry-data.kankoh-guide.com/irai-entry/irai-entry1.php

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