【JAIA理事長会見】 EVの販売伸長で市場全体がコロナ禍前の水準に近づくことに期待

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日本自動車輸入組合(JAIA)は1月30日、定例会見を行った。昨年末の前理事長退任に伴い、1月1日付でメルセデス・ベンツ日本・上野金太郎社長が新理事長に選任された。上野理事長は2013年、2018年に続く3期目。

3期目に臨むにあたり上野理事長は「電動車を初めとする最先端の安全、環境技術を備えたバラエティに富む輸入車をお届けできるよう、直面する新たな課題の解決に向けチャレンジしていきたい。電動化を巡る充電、電圧等にかかる技術的な課題やバッテリーのリサイクル、さらに人材不足という新たな課題の解決に向け、個別にタスクフォースや連絡会を設置し対応している。日本における電動車の普及率はまだまだ伸びしろがあると感じており、これにより市場が活性化され、輸入車全体の販売台数がコロナ禍前の水準にさらに近づくことを期待している」と語った。

また、2023年の輸入車販売展望は「電動車への補助金や税金優遇など支援と、会員企業各社の積極的な日本市場への投入により販売台数が増えていくことに期待している(上野理事長)」と述べた。

海外では、ドイツを例にとると2017年のEV・PHEVの販売比率は1%台だったが、政府による補助金施策や電動車のラインナップの増加により2021年には26%まで拡大した。

一方、昨年の輸入車市場(外国メーカー車)は、1月から9月まで厳しい状況が続き、10月以降は回復の兆しを見せたものの、販売台数(暦年)は24万2226台(前年比6.7%減)だった。だが、登録車全体に占める外国メーカー車のシェアは9.5%と1988年の統計開始以来最高だった。

その中、輸入EVの販売台数は1万4341台と初めて1万台を超えた。これは「記念すべき年、補助金施策や各社のモデルラインアップ拡充の結果(同)」と見ている。

昨年末でのEVのラインナップは15ブランド78モデルまで増え、22年のEV販売台数は21年の8610台に比べ66.6%増。日本で販売された乗用EVの45.3%を輸入車が占めた。

■2023年主要活動について

また、今年の主要活動として①市場活性化、②環境・エネルギー分野、③安全と基準の調和、④自動車公正取引・アフターセールス分野、⑤モーターサイクルの五つを挙げた。

①市場活性化に関連して、電動車普及拡大の障壁となっているのが、充電インフラの不足。商業施設の充電器設置補助に関する支援策の充実や、住宅地での充電器不足を補う公共充電施設の充実、公道への充電器の設置促進支援等を関係機関に働きかけている。

あわせて、急速充電器での充電時間短縮を図るため、充電電圧等の課題への規制緩和の検討等の充電インフラ環境整備も必要で、日本と諸外国の制度が異なることから同組合ではタスクフォースを設け、関係省庁と連携を進めながら、この問題解決に取り組む。

④自動車公正取引・アフターセールス分野では、昨今、自動車産業共有の課題となっている整備人材の不足について、同組合では昨年9月に自動車整備人材関連情報連絡会を設置し“国への制度面における働きかけ”“JAIA会員・販売店と自動車専門学校・大学校との連携”“販売店等におけるベストプラクティスの共有”“外国人人材の活用検討”“整備工場関連等の補助金等の制度活用への情報提供”という五つの領域を設定し、具体的な活動を開始した。

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