今年も3月に向けての決算セールがスタートしつつあるが、メーカー系の新車ディーラーは盛り上がりに欠ける趨勢になっている。年中行事の一つであり、年間で新車が最も売れる時期だから、何もしないわけにはいかない状況にあるのも確かである。
ところが今回もまた、新車の納期が電動車(ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車など)を中心に納期の遅れが解消されていないので、セールの盛り上がりに欠ける事態になっている。
3月末までの決算セールはオプション部品のサービスや割引、ナビの格安セール、下取り車の高価格買取り、低金利クレジットの設定などが実施されている。基本的にはセール期間中の新車販売時の成約&納車が条件だった。ところが最近は受注しても、納期が大幅に遅れるので、これだとセールが成り立たないケースが多発している。
このためサービス企画の対象を納車ではなく、受注し、契約が成立した時点に切り替える販売店が増えている。販売店にとって困るのは、ナンバーを取得し納車しないと該当する新車の代金が徴収できないために、メーカーに支払いができないので、収益に支障がでることになる。こうしたことからセールを盛り上げるための資金の拠出が十分にできず、低調にならざるを得なくなっている。
メーカーは海外向けの生産車を国内に振り向けるなどして、成約車の納期短縮に躍起になっているが、半導体を中心としたサプライヤーからの部品の供給はコロナ禍でまだまだ解決の糸口が見えないため、頭を抱えているのが実情である。成約台数は増え、マーケットは回復基調にあるが、納期遅れによる足かせはまだまだ続いているようだ。
(遠藤 徹)