2022年の年明け(1月)から春(3月)まで、月ごとの車名別販売台数からミニバンだけをカウントし、ひと月当たりの平均販売台数を計算しランキング表を作成した。この間、日本で最も売れたミニバン(1位)は、コンパクトサイズミニバンのホンダ・フリードだった(月平均販売台数:8258台)。
2位はラージサイズのトヨタ・アルファード(同:6260台)で、ミドルサイズの日産・セレナ(同:6238台)が僅差で3位となった。
4位は、コンパクトサイズのトヨタ・シエンタ(同・4429台)で、5位は1月にフルモデルチェンジしたトヨタ・ヴォクシー(同・3846台)だった。
ラージサイズではアルファード独り勝ち!
昨年に比べ、クルマを取り巻く環境は大きく変わってきている。世界的な半導体不足とコロナ禍により海外の部品工場が十分に稼働できず、クルマの生産ができない状況にある。さらに、今年3月中旬の東北地方の地震も追い打ちをかけている。発注してもクルマがすぐに手元に届かない状況が常態化しているのだ。各社思い通りに生産できない状態でのランキングであることをお含みおきいただきたい。
元々モデル数が少ないラージサイズのミニバンだが、2位のアルファードだけが“桁違い”の販売台数を示した。同じラージサイズに限ると、2位はホンダ・オデッセイ(同・1226台)、3位日産・エルグランド(同・308台)、4位は姉妹モデルのトヨタ・ヴェルファイア(同・275台)と続いた。
アルファードはトヨタブランド最高峰ミニバンとして、堂々としたスタイリングと内装の品質の高さ、セカンドシートのアレンジがもたらす比類ない快適性やゆとり等で、確固たるブランドイメージを築いている。近年は、その後席快適性に、個人オーナーだけでなく法人も着目し、ユーザーの幅も広がっている。
ミドルクラスでは、ヴォクシーとセレナの一騎打ち。セレナは、従来からのスマートシンプルハイブリッドを軸に、日産の誇る最新ユニットのe-POWER、そして最新鋭の運転支援システムのプロパイロット(一部グレード)、エアロスタイルが人気のハイウェイスター…と選択肢も豊富だ。
一方、ヴォクシーは今年1月、姉妹モデルのノアと共にフルモデルチェンジ。フロントフェイスのデザインを含め三つのデザイン(ヴォクシー・エアロ〈エアロのみ〉、ノア・エアロ、ノア・標準)を持ち、成熟期に達したモデルらしく「使いやすさ」をとことん追求した。しかも、この使いやすさの追求では一部アナログな技術を採用し価格高騰も抑えた。一方、これまでなら上級モデルから投入される最新の予防安全技術やハイブリッドシステムを投入する等、メーカーの期待の大きさもうかがえる。
また、ホンダ・ステップワゴンは今春のフルモデルチェンジが発表されており、今年1月~3月はいわばモデル末期の不利な状態だった。春以降は、フルモデルチェンジしたステップワゴンとノア/ヴォクシーが真っ向勝負の状態になる。
参考として、ミニバンの2021年度(21年4月~22年3月)の累計販売台数では、1位がアルファート(7万9726台、対前年度比25.2%減)だった。2位はフリード(7万3661台、同0.4%増)、3位がヴォクシー(5万7972台、同19.4%減)だった。前述の通り、ほとんどのモデルが前年度より販売台数を減らしているが、フリード(微増)をはじめオデッセイ(1万9891台、同66.6%増)、三菱・デリカD:5(1万4117台、同8.9%増)の3モデルだけが前年超えだった。