ここ数年、急ピッチで進む自動車の電動化。その中心となっているのが電気自動車(BEV)で、22年も日産/三菱の軽EVやトヨタ・bZ4X、スバル・ソルテラなどの登場が予定されている。
しかし、充電設備の状況やバッテリーの性能など、電気自動車の課題はまだまだ多い。また電気自動車そのものがまだ不安という人も多いだろう。
そこで現状の最適解として注目を集めているのが、プラグインハイブリッド(PHEV)だ。PHEVであれば、日常はEVとして使い、週末はHVとして使うことができる。ガソリンさえあれば走行できるので、電欠の心配がないのは大きなメリット。国からの購入補助金が最大50万円あることも魅力といえる。
というわけで、今回は現在の国産PHEVを見てみよう。
・三菱 アウトランダーPHEV
PHEVの代表ともいえるのが、このアウトランダーPHEV。現行モデルは2代目で21年12月に発売。以来、わずか3ヵ月で累計受注台数が1万台を超えるという人気ぶりだ。
堂々としたSUVスタイルに2.4Lエンジンと前後2つのモーターを搭載した4WDシステムを搭載し、力強い走りと上質な室内空間、高い環境性能を実現しているのが大きな特徴。PHEVシステムも進化し高出力化されると同時に小型化され、乗車定員を7名にするなど、使い勝手も充実している。EV走行換算距離は87km(WLTCモード)、急速充電にも対応しており、EVライクな使い方も可能としている。価格は462.1万円~532万円。
・三菱 エクリプスクロスPHEV
エクリプスクロスは18年3月に登場したクーペSUV。登場時はガソリン車のみだったが、19年6月にクリーンディーゼルを追加、20年12月のマイナーチェンジでそのディーゼルが廃止され、代わりにPHEVが追加された。
搭載されたPHEVシステムは、先代アウトランダーPHEVに搭載されたシステムがベースとなるが、細かく改良された進化版。新型アウトランダーPHEVのシステムを第2世代とするならば、第1.5世代といえるものだ。2.4Lエンジン+前後2基のモーターを搭載した4WDで、EV走行換算距離は57.3km(WLTCモード)を実現しており、日常ユースはEVのみで走行可能だ。急速充電にも対応している。
スタイルの良さに加えて高い走行性能でも定評があり、特に三菱伝統の4WD技術の高さではクラストップレベルといえる。アウトランダーPHEVでは少し大きすぎる人にも向いたモデルだ。価格は384.8万円~451万円。
・トヨタ プリウスPHV
高い環境性能を誇るプリウスにPHEVシステムを搭載し、さらに環境性能を高めたのがプリウスPHVだ。現行モデルは2代目で17年2月に登場。TNGAプラットフォームの採用で基本性能を大きく向上させた4代目プリウスをベースとしていることから、走行性能も高い。登場時は乗車定員が4名だったが、19年5月の一部改良で5名乗車になった。
EV走行距離は60kmで日常範囲をカバーするが、充電電力を使い切り、ハイブリッド走行となった場合でも30.3km/Lとクラストップレベルの燃費性能を実現しているのが大きな特徴だ。価格は338.3万円~401万円。
・トヨタ RAV4PHV
人気のミドルクラスSUV、RAV4のプラグインハイブリッドモデル。ベースはRAV4のHVだが、フロントモーターを高出力化することでシステム最高出力は306psを発揮。力強くシャープな走りを楽しめるのも大きな魅力だ。
EV走行距離が95km(WLTCモード)と長いので、長距離ドライブにも最適。駆動方式は全車電気式4WDシステムのE-Fourとなっている。価格は469万円~539万円だが、生産予定台数に対して人気があり過ぎて発売直後に受注停止、その後再開されたものの、22年2月には再び一部販売店でオーダーストップになるなど、品薄状態が続いているのが難点。
・レクサス NX
次世代レクサス第1弾として21年10月に登場した新型NXは、HV、2.4Lターボ、2.5Lなど多彩なパワートレーンを採用しているのが特徴の一つだが、その中でも注目されるのがレクサス初のPHEVモデルとなった「450h+」。2.5LのHVに強力なリヤモーターを組み合わせ、力強く上質な走りを実現している。
EV走行距離は88km(WLTCモード)で、駆動方式は電気式4WDシステムのE-Four。価格は714万円~738万円。こちらも人気集中で納期が長期化している。