【第41回JAIA試乗会レポート⑤】迫力あるスタイルに見合う走りの実力 メルセデスベンツ・C200アヴァンギャルド

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昨年、7年ぶりに一新された新型Cクラス。ボディサイズは大きく違うが、全体のスタイルは先に登場した新型Sクラスとよく似ており、パーソナルユースに適したサイズにSクラスを最適化したような印象だ。このため、サイズ感は違っても堂々とした存在感はそのまま。プレミアムセダンならではの迫力を感じる。

堂々とした新型Cクラスのスタイル

そして重要なのが、スタイルだけでなく、新型Sクラスに採用された最新技術が新型Cクラスにも搭載されていること。直感的に操作できる縦型11.9インチのセンターディスプレイやAR(拡張現実)ナビゲーション、生体認証によるシートポジションの設定、片側130万画素のデジタルライト、後輪操舵システム「リア・アクスルステアリング」など、盛りだくさんの最新装備が詰め込まれており、安全・安心なドライブを実現している。スタイルだけでなく、安全性や快適性もSクラス譲りなのである。

室内空間はホイールベースが25mm延長されたことで、後席の足元空間が広がり、居住性が改善。また前席は、先代にあったナビのコマンダーがなくなり、センターコンソールがスッキリ。現在のメルセデスはシフトレバーがコラム式になっているので、もともとセンターコンソール周りは他のブランドに比べて整理されているのだが、会話で操作できるMBUXのおかげもあって、充実した機能を搭載しながら、より整然としたインテリアとなった。

整然としたインパネ周り
シートの座り心地も満足できる

今回試乗したのはセダンの「C200アバンギャルド」で、1.5L直4ターボにISGを組み合わせた48Vマイルドハイブリッドを搭載。エンジン単体で204psを発揮するが、ISGにより短時間、最大で20psのブーストを可能にするというものだ。

実際に走って見ると、パワーは十分。発進時から力強く、鋭い加速でバイパスでの合流も楽々。ターボとはいえ、とても1.5Lのエンジンとは思えないほどだ。発進時や急加速時はモーターがアシストするが、そのつながりも自然で、意識していてもよくわからない。また回転を上げても室内の静粛性は高く、長時間のドライブも苦にならないだろう。足回りはやや硬めだが、路面のショックもよく吸収し、乗り心地の面でも不満はない。

ただし、ステアリングの軽さとブレーキの感覚は、好みや慣れの問題もあるが、やや違和感を感じた。特にブレーキは踏み始めの効きが弱く、それならばと今度は奥まで踏み込むと想定よりも一気に減速する。その結果、いわゆるカックンブレーキがちになってしまうのだ。国産車でも特に初期のハイブリッド車は同じような傾向だったから、回生ブレーキのセッティングの問題といえるだろう。その辺りの熟成が進めば、さらに魅力を増すことは間違いない。

そんな新型Cクラスなのだが、残念なのは納期がかなり長期化していること。モデルチェンジと半導体不足の影響が重なったのが大きな原因で、ちょっと間の悪いモデルチェンジのタイミングとなってしまった。早めに注文してもかなり待つことになるから、急がない人はじっくりと熟成を待つのも手かもしれない。(鞍智誉章)

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