日野自動車、エンジン認証に関する不正行為を公表

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日野自動車は3月4日、日本市場向け車両用エンジンの排出ガスと燃費の認証申請で、社内で不正行為が行われていたことを公表した。同日、都内で会見を開き同社・下義生会長と小木曽聡社長が、経緯と今後の顧客対応等を説明すると共に陳謝した。

不正行為があったのは小型用から大型用の3機種のエンジンで、中型エンジン(A05C〈HC-SCR〉)は排出ガス性能の「劣化耐久試験」で、大型エンジン「A09C」と「E13C」のは認証試験の「燃費測定」で、それぞれ性能を偽る行為があった。同社では、これら3機種とその搭載車両の出荷を停止した。

さらに、小型エンジン「N04C〈尿素SCR〉」は、燃費性能に問題が判明した。これら4機種について、国土交通省及び経済産業省に報告した。各エンジンの搭載車種と2022年2月末時点での累計販売台数は以下の通り(※リコール対象)。

    • N04C〈尿素SCR〉……小型バス 日野リエッセⅡ:2057台
    • A05C〈HC-SCR〉……中型トラック 日野レンジャー:4万3044台※
    • A09C〈尿素SCR〉……大型トラック 日野プロフィア:4万8827台、大型観光バス 日野セレガ:1429台
    • E13C〈尿素SCR〉……大型トラック 日野プロフィア:1万9276台、大型観光バス 日野セレガ:893台
会見で陳謝する小木曽社長(左)と下会長

同社では、北米市場向け車両エンジンについて、社内で排出ガス認証に関する課題を認識したところから(2018年1月)、外部弁護士の指導の下、自主的に調査を開始し現地当局へ報告。これまでの間に、米国司法省からの調査も開始され、同社は当局の調査に全面的に協力している。

その一方で、日本市場向けエンジンに調査対象を拡大し、現行規制である平成28年排出ガス規制(ポスト・ポスト新長期規制)対象エンジンの複数機種で、認証手続きの不正行為があったことが確認され、エンジン性能に問題があることも判明した。

原因と再発防止に関して、現場における数値目標達成やスケジュール厳守へのプレッシャー等への対応がとられていなかったことが背景にあるとし、すでに着手している組織変更や、業務プロセスの見直しといったガバナンスの改善に加え、従業員一人ひとりの意識改革への取り組みを進めていく。

また、同社と利害関係のない外部有識者による調査委員会(仮称)を設置し、全容解明と真因分析、組織の在り方や開発プロセスまで踏み込んだ再発防止策を提言してもらう。

なお、これらのエンジン搭載車で、排出ガス及び燃費に関する税制優遇への影響を精査し、追加納付が必要な場合は同社が負担するという。

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