【エコツアーに行こう!】天城自然ガイドクラブ(静岡県伊豆市)

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奥深い伊豆の大自然を楽しもう

温暖な気候、豊かな海の幸、そして温泉。東京から日帰りさえできるリゾート地として人気を保っている伊豆半島は、地学的には日本で唯一フィリピン海プレートにのっている場所だ。かつての海底火山が約100万年前に本州にぶつかり、活発な火山活動を経て現在の地形を生んでいる。その中心とも言えるのが日本百名山の一つ、最高峰1406mの天城山だ。江戸時代には天領として手厚く管理されていたこともあり、ブナの森を始めとする豊かな自然が残っている。

天城縦走路の小峠付近。ブナの大木が多く立ち並ぶ

この天城山一帯をメインに、エコツーリズムの理念に則って活動しているのが天城自然ガイドクラブ。単なる観光誘致ではなく、トレッキングツーやエコツアー、自然観察会の開催、またそのための人材育成、研究調査活動など多岐にわたっている活動内容が注目だ。

プログラムとして通年開催されているものでは、たとえば名作「伊豆の踊子」の舞台となった天城峠を歩くコース、ブナの純林や巨木をめぐる「ブナの道」、最高地点の万三郎岳へ向かうコースなどがあり、体力に合わせて選ぶことができる。また、4月中旬から下旬のマメザクラ、5月中旬から下旬のアマギシャクナゲなど、伊豆ならではの季節ごとの花や新緑、紅葉などに合わせて訪れるのもいいだろう。ガイド付き、最少催行人数4人程度だから、家族や仲間とだけの貸し切りも可能だ。

伊豆山稜線歩道の風早峠から宇久須峠へ。稜線には笹原が広がり、さえぎるもののない展望が開けている

まだまだ寒い季節だが、伊豆ならばよほど運悪く南岸低気圧にあたらないかぎり、ルートを選べば雪道の心配もない。春先取りのドライブを兼ねて出かけたい。

(上田 泰久)

■通年開催の主なプログラム

「伊豆の踊子」の足跡を訪ねる

川端康成の名作「伊豆の踊子」の舞台となった天城路を、旧天城トンネルを抜けて北から南へ。天城街道の歴史や映画のエピソード、杉並木や滝など自然の魅力が織り込まれている。天城峠北側水生地下駐車場9時集合~河津七滝バス停15時解散。小学5年生以上対象、料金4000円(税・保険料込)、最少催行人数4人。解散地点から集合地点までのガイドの移動費が別途必要。

新ルート「ブナの道」母なる森

「天城の瞳」と呼ばれる断層湖、八丁池を経由し、西斜面に広がる特別保護地区のブナの純林を探索。直径1.3mを超える大ブナも点在する。道の駅「天城越え」8時30分集合・15時30分解散。小学5年生以上対象、料金4000円(税・保険料込)、最少催行人数4人。歩行を開始する八丁池口までは期間限定バスかタクシーを利用(別途料金)。

日本百名山「天城山」~万二郎岳・万三郎岳を歩く~

天城山の主稜線を歩き、最高峰の万三郎岳へ。天候次第では相模湾や駿河湾、富士山なども望める。季節により固有種のアマギシャクナゲ、アマギツツジなどの花も楽しめる。天城高原ハイカー駐車場(中伊豆・天城峠側ではなく東伊豆側)集合9時~解散15時30分。小学5年生以上対象、料金4000円(税・保険料込)、最少催行人数4人。

八丁池~自然・歴史遺産「ブナの森と旧天城トンネル」~

踊子歩道での見どころ、旧天城トンネル。明治38年に開通した石造りのトンネルは国の重要文化財に指定されている

八丁池口から登り、富士山や伊豆諸島を望める展望台を経て八丁池へ。ルート上にはアセビのトンネル、ブナやヒメシャラの林なども。最後は旧天城トンネルへ。道の駅「天城越え」8時30分集合?天城峠バス停15時30分解散。中学生以上対象、料金4000円(税・保険料込)、最少催行人数4人。歩行を開始する八丁池口までは期間限定バスかタクシーを利用(別途料金)。

天城の秘境 溶岩の森 皮子平(かわごだいら)

八丁池口から、3200年前の噴火口である皮子平へ。苔むした溶岩の森はまさに秘境。保水力の高いブナの原生林で、自然の偉大さを五感を通じて知ろう。道の駅「天城越え」8時50分集合~17時解散。健脚向き。料金4000円(税・保険料込)、最少催行人数4人。歩行を開始する八丁池口までは期間限定バスかタクシーを利用(別途料金)。

金冠山・きよせの森トレッキング

伊豆山稜線歩道への手軽なトレッキング。山頂は360度の展望が広がり、眼下の駿河湾越しに富士山が目の前。3月下旬のヤマザクラからマメザクラ、アセビ、ドウダンツツジなどが季節を追って次々に花を咲かせる春がおすすめ。だるま山高原レストハウス駐車場9時集合?12時30分解散。小学5年生以上対象、料金3000円(税・保険料込)、最少催行人数4人。午後出発も可能。

金冠山山頂から駿河湾越しの富士山。左に見えるのは南アルプスだ

コビサワラ原生林 「巨樹と天城の樹木博物館」

中伊豆の名瀑、萬城の滝から、天城山の北麓に広がるコビサワラ原生林へ。樹齢300年以上と言われるモミの巨木を始め、ブナ、ケヤキなど約40種類もの樹木が生い茂っている。途中には中伊豆ならではのワサビ沢もあり、3月にはワサビの白い花が美しい。萬城の滝キャンプ場9時集合?15時解散。小学生以上対象、料金4000円(税・保険料込)、最少催行人数4人。

※このほか、天城山縦走路と伊豆山稜線歩道を併せ、伊豆半島の中央部をU字型につなぐロングトレッキングコース「天城分水嶺トレイル」を4コースに分けたトレッキングプログラムもある。持ち物など詳細はHPを参照。3人以下の場合は相談を。

【HPアドレス】 http://www.izu-angc.org

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