【河村康彦 試乗チェック】フォルクスワーゲン・ゴルフGTI 245PSの強心臓がもたらす走りは…

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実用性を犠牲にすることなく身体能力がさらに向上

ゴルフの初代モデルから設定が始まり、今や名称そのものがひとつのブランド化しているとも受け取れるのが、『GTI』の3文字を与えられたハイパフォーマンスが売り物のフォルクスワーゲン車。ベーシック・モデルの展開が先行していた日本での新型ゴルフでも、2022年の幕開けを待っていたかのように発売がスタートしたのが、フルモデルチェンジを行った最新のゴルフGTIである。

リヤバンパーにはディフューザー処理が施された

フロントグリルに入る赤い挿し色やタータンチェック柄のシート地といったGTIの定番ともいえる特有の化粧に加え、チェッカードフラッグを想起させるレイアウトのフォグライトや、下部にディフューザー処理が施されたリヤバンパー等もなかなかスポーティな装い。細かいところでは、バーチャル式メーターに中央を大径のタコメーター表示とした専用のグラフィックが用意されている点なども、GTIならではの見どころとして紹介ができそうだ。

 

専用グラフィックを持つメーター

2リッターのターボ付きガソリン・エンジンが発するのは、245PSの最高出力と370Nmという最大トルク。従来型GTIのスペックに対して15PSと20Nmの上乗せという計算になる。

従来型より15PSアップのエンジン

サスペンションにはもちろん専用のチューニングが施され、電子制御油圧式のデファレンシャルロック機構やブレーキを用いたベクタリング機構を統合制御する“ビークルダイナミクスマネージャーシステム”を採用。今回のテスト車は、電子制御式可変減衰力ダンパーを、標準より1インチ大きな19インチ・シューズとの組み合わせで装着する”DCCパッケージ”もオプション採用されていた。

足回りからも高性能を静かに主張

トラクション能力の高さには定評がある新型ゴルフだが、それでもフル加速時にはトラクション・コントロールの作動を示すランプが点滅。そうしたシーンでもステアリング・ホイールが取られたり嫌な振動が伝わってこない点はさすがだが、前2輪駆動の限界を感じさせられるのもまた確か。これ以上のグリップ力を望むのならばもはや4WD化しかないだろうが、そこはいずれ日本にも導入されるであろう『R』グレード待ちということか。欧州では発表済みの『R』の心臓はさらなるハイパワー化が図られているが、過度の極端には走らない点もまた、GTI人気の秘密でもあるはずだ。

ハッチバックとしての実用性はそのまま

フットワークの味付けも、過敏なシャープさは抑えながらも自在な身のこなしが持ち味という印象。ゴルフ本来の実用性の高さは何一つ犠牲にすることなく、身体能力の高さに磨きを掛けた特別なゴルフが『GTI』という称号の持ち主なのである。

(河村 康彦)

(車両本体価格:466万円)

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