サプライヤーからの半導体の供給遅れによる、新車の納期先送りの解消は2022年4月頃までもつれ込むことになりそうだ。トヨタなど自動車メーカー各社はこの12月あたりから、徐々に新車の生産を通常ペースにもどしつつある。
ただ車種によっては、まだ供給態勢が整っていないモデルもあり、完全に元に戻るのはまだかなりの時間がかかりそうな状況で、登録や届出ベースでプラスに転じるのは5月以降になる可能性がある。
メーカーオプションでは標準装備も含めてナビゲーションの供給遅れも残っており、中には車両本体を先に納車して、ナビユニットを後付け扱いにする車種もある。車両本体では特に人気の高い新型SUVが長期化している。このため登録ベースでは、それほど売れ行きが良くないようなデータになっていなくても、受注台数は好調に推移している量販戦略モデルも目に付く。
従来、登録車や届出車(軽自動車)の銘柄別販売ランキングは、各車種の人気動向と一致していたが、最近は乖離が見られる。ナンバーを取得しないと登録車、届出車が売れたことにならないので、受注台数と販売台数の差がますます大きくなっているのである。
最も苦境に立たされているのは、新車を売っている販売店である。契約してもナンバーを取得してユーザーのもとに納車しないと集金できないので、経営が厳しくなる。あまり納期が先送りになると、ユーザーは下取り車がある場合は車検を取ってしまうから、次回回しとなり、実質的には購入はキャンセルされることになってしまう。苦肉の策として、販売店は中古車を売って苦境を対処しているところもある。
(遠藤 徹)