【河村康彦 試乗チェック】フィット e:HEV モデューロX 微妙なホイールのしなりも活用

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フラット感がすこぶる高い上質な乗り味

ホンダの4輪車用純正アクセサリーを手掛ける100%子会社が、ホンダアクセス。ここが開発したボディキットやサスペンション、さらにはオリジナルの専用デザインによる一部内外装を採用の上で、1台の完成車として新車保証なども適用の上でディーラーから販売されるコンプリートモデルに与えられるのが、『モデューロX』というブランド名だ。

2013年にN-BOXで初めてのモデューロXが誕生して以降、フリードやステップワゴン、S660などをベースとしたモデルがリリースされてきたモデューロXシリーズだが、ここに紹介するのは新しいフィットがベース。フィットがベースのモデューロXができたのは、これが初めてのこととなる。

走りの質を向上させたコンプリートカー

例によって、街乗りスピードでも効果を発揮する『実効空力』を獲得するための様々なデバイスは、これ見よがしの形状のウイングなどではなく、エアダム下の突起やわずかに延長されたノーズなど、いずれも黒子的なアイテム。逆にいえば、こうしてドレスアップ用としてはさほど効果が期待を出来そうにないものを敢えて採用するという点に、このブランドの「真に走りを向上させたい」というコンセプトが表れているとも言えそうだ。

見えないところで確実に効果を出す空力アイテム

そうした中で唯一絶大なドレスアップ効果を持つのが、『スーパーGT』のレースに参戦するNSX-GT用アイテムにインスパイアを受けたというデザインを採用の専用ホイール。大幅な軽量化を実現すると同時に、コーナリング時に横力を受けた際の微妙な「しなり」を活用することでグリップ力を増大させる効果も持つという、「サスペンションの一部」という考え方に基づいたアイテムである。

実際、ベースのフィットとワインディング路を乗り比べると、サイズも銘柄も全く同じタイヤを装着するにもかかわらず、モデューロXはあたかもハイグリップタイヤに履き替えたような印象を味わわせてくれることにビックリ。その上、路面への当たり感こそやや硬質なものの、フラット感がすこぶる高い上質な乗り味に、これがコンパクトカーである事を忘れそうになるくらい。

ノーマルの走りと違いが歴然

エンジンこそノーマルだが、実は「これこそが隠れた真のホットハッチ」とでも呼びたくなる、何とも内容の濃い一台である。

(河村康彦)

(車両本体価格:286万6600円)

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