【新型ゴルフ試乗】先進装備満載で大きく進化した8代目ゴルフ

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走りで選べば1.5Lがベストバランス

欧州での発表から遅れること約2年、ようやく日本でも発売となった新型ゴルフ。まず導入されたのは1Lの「eTSIアクティブ」と1.5Lの「eTSIスタイル」「eTSI Rライン」というグレード構成となるが、今回はその中の「eTSIスタイル」に試乗した。

全体はキープコンセプトだが、フロント周りのデザインが刷新され、シャープさを増した新型ゴルフ
リヤも奇をてらうことなく正常進化

8代目となる新型ゴルフでまず気になるのは、1L、1.5Lとも48Vマイルドハイブリッドとなったこと。このうち1Lは、先に登場した新型アウディA3に搭載されたものと同型だ。ただA3は1Lの他は2Lとなり、1.5Lはラインアップされていないから、この48Vの1.5Lマイルドハイブリッドは新型ゴルフが初となる。

48Vマイルドハイブリッド化された1LエンジンはA3で試乗していたので、今回は1.5Lの「eTSIスタイル」を選択したわけだが、結論から言えば、やはり全体のバランスを考えると1.5Lが最適だと感じた。市街地での走りだけ見れば1Lでも不満はないが、高速域での加速感、安定感は1.5Lが大きく上回る。1Lで感じた高速域での加速の鈍さ、余裕の無さを感じることなく、市街地から高速域までストレスのない走りだ。パワーに余裕がある分、アクセルを余計に踏む必要もないので、静粛性という点でもベストなパワーユニットだといえるだろう。

乗り味は硬すぎず、緩すぎず、非常に快適だ。ただステアリングとブレーキはややクセがあり、先代と比べて少しフィーリングが異なる。まずステアリングは非常に軽い。ゴルフに限らずドイツ車は重めのセッティングとしているものが多いが、新型ゴルフは国産車に近い印象だ。おかげで市街地の狭い交差点でも操作しやすい。ただ軽自動車のように頼りない軽さではなく、感触自体はしっかりとしており、路面の情報はきちんと伝わってくるのはさすがである。またブレーキもやや軽い印象で、効き始めるまでの空走感がやや長く感じられる。これは48Vマイルドハイブリッドとしたことにより回生ブレーキのセッティングが変わったためだと思うが、もう少し自然なフィーリングが欲しいところだ。

外観はキープコンセプトだが、室内空間は一新

ボディサイズは全長4295×全幅1790×全高1475mmで、先代に比べ全長は30mm長くなったが全幅は10mm短くなり、取り回しのしやすさは先代同様。ボディスタイル全体も先代と大きく変わらずキープコンセプトといえるが、フロント周りのデザインは低くフラットな印象となり、先進感を感じさせるデザインとなっている。

一方、インテリアは一新。運転席に座ると目の前に大型のデジタルメータークラスターが位置し、センターの10インチの大型タッチスクリーンと横並びとなって様々な情報が確認しやすい。シフトレバーはA3同様に小型のセレクターになったが、形状としてはこちらの方が操作しやすかった。

ディスプレイが並び、先進感のあるコクピット周り
大型の液晶モニターにメーター等の各種情報が表示される
シフトバイワイヤーの採用で小型化されたシフトレバー

ただ、もう少し熟成が必要かなと思ったのはナビを中心にした操作系のインターフェース。ナビそのものの性能も正直今一つだが、UIがきちんと整理しきれておらず、少々わかりにくい。新世代のデジタルインターフェースは新型ゴルフの売りの一つだが、慣れるまでには若干時間が必要だ。

室内空間のパッケージは、後席空間、荷室容量も含めて満足できる。効率的なCセグハッチバックとして、実用性はトップレベルといえるだろう。インテリア全体の装飾はシンプルで、取り立てて上質感みたいなものは感じさせないが、そこもまたゴルフらしいともいえる。数多くの先進装備を備えた実用車として、歴代モデル同様、多くのユーザーに愛されることとなりそうだ。(鞍智誉章)

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