「新型SUV、○○○を発売!」「新型コンパクトカー、△△△のデザインを先行公開」等々、自動車メーカーから新型車発表のニュースが数々届くが、時として「○○○って、前もあったよね?」という、既視感ありありというより“昔の名前で復活しました”というモデルもある。これにいち早く気づくのは、クルマ好きオールドファンや、古株編集部員だったり……。こうした「一度は消えて復活したクルマ」をピックアップしてみた。(編集部)
三菱・ミラージュ ──かつてはエリマキトカゲもCMに出演
現在、三菱自動車でグローバルモデルの一つとして発売されているコンパクトハッチバック、ミラージュもこうした“復活組”の一つ。以前のミラージュは、やはりコンパクトカーだったが現在よりもボディサイズが一回り大きい、いわゆるテンゴ(1.5リッター)、テンロク(1.6リッター)エンジンを搭載し、3ドアハッチバック、5ドアハッチバック、4ドアセダンとボディタイプも豊富だった。1978年に初代モデルが発売され、第5世代までモデルチェンジを重ね、2000年に販売を終えた。
1978年3月に登場した初代モデルは、1.2L、1.4Lの小型FFハッチバックとして誕生。当初は2ドアだけだったが、同年秋には4ドア車も追加された。副変速機を備えた「スーパーシフト」の採用など多くの新機軸が盛り込まれた意欲作で、日本車離れしたスタイルも大いに話題を呼んだ。この初代ミラージュ登場とあわせ、三菱では新販売チャンネルとして「カープラザ店」も開設。拡販の核として大きく期待されていたことがわかるが、初代ミラージュはその期待に見事に応えるヒットモデルとなった。
2代目(1983年)では、テレビCMに2足歩行で走る(逃げる?)エリマキトカゲが登場。おかげで日本中エリマキトカゲブームとなったが、肝心のミラージュが目立たないという結果に。また第3世代モデル(1987年)では、DOHC16バルブ1.6リッターインタークラーターボエンジン(最高出力145PSを発揮、最終的には160PSまでパワーアップ)を搭載するスポーティグレード“サイボーグ”も設定され、走りを楽しみたい若者を惹きつけた。また、ミラージュによるワンメイクレースも行われ、三菱のサーキットでのスポーツイメージを牽引したモデルでもあった。
そんなミラージュだったが、95年に登場した5代目で一旦終了。実質的な後継として「コルト」が登場したが、この「コルト」も70年代からの復活ネーム。がしかし、そのコルトも1代限りで2012年には終了し、世界戦略車として現行「ミラージュ」が登場。復活を遂げることとなった。
ダイハツ・タフト ──本格的かつ骨太なクロスカントリー4WDでした
現在、軽クロスオーバーSUVとして販売されているダイハツ・タフトは、36年ぶりに復活した車名だ。36年前のタフトとは、クルマの規格やコンセプトも現在と大きく異なるので、直接の後継モデルではないが、オフロード寄りのイメージは共通するところだ。
ちなみに「タフト」名は初代、2代目ともコンセプトの頭文字を取ったもの。ただし内容はちょっと違っていて、現行モデルが「Tough & Almighty Fun Tool」なのに対して、初代モデルは「Tough & Almighty Four-wheel Touring vehicle」。このコンセプトを見ればわかる通り、クルマの性格はかなり違う。
初代モデルは1974年から1984年まで発売され、はしご状のラダーフレームに4輪リーフリジットアクスル、トランスミッションは副変速機付きのパートタイム4WD……この取り合わせは本格的なオフロード走行を可能にする必須条件。泥汚れが似合うタフなクロカン4WDだったのだ。エンジンは当初1.0リッターで、徐々にエンジンが拡大され、最終的には2.8リッターディーゼルを積んでいた。
当時のクロスカントリー4WDのカテゴリーでは、ラージクラスでトヨタ・ランドクルーザーや日産・パトロールがあり、軽自動車ではスズキ・ジムニーがいた。その中間がタフトの立ち位置。また、トヨタではこのタフトを“ブリザード”の名称で販売していた。84年のモデルチェンジを機に「ラガー」に車名を変更。以来、36年ぶりに車名が復活することになった。
ダイハツ ロッキー ──軽快なライトクロスカントリーモデル
リッターカーのクロスオーバーSUVながら、4WD性能もしっかりしており、コストパフォーマンスに優れるSUVとして、兄弟車のトヨタ・ライズと共に人気を集めているダイハツ・ロッキー。実は、このロッキーも22年ぶりに復活した車名だ。
初代のロッキーは、日本国内では1990年から1997年まで販売され、先に紹介したタフト(初代)同様にラダーフレームを持ち、1.6リッターガソリンエンジン+ロック機構付きセンターデフを持つフルタイム4WD、またはパートタイム4WDが設定された、ライトクロスカントリーモデルだった。販売時期は前後しているが、ダイハツに一貫して骨太なクロスカントリーモデルが販売ラインアップに入っていたとは……。
初代ロッキーは軽快な走りを予感させるショートボディの3ドアタイプで、ユニークな点は前席のルーフ部分と、車両後部のルーフ部分が樹脂製で取り外し可能になっていたこと(レジントップ)。本格的なオフロード走行と爽快なオープンエアクルージングが楽しめた、なかなかワイルドなモデルだった。
SUBARU(スバル) ジャスティ ──OEMモデルで車名をつないだ
現在の「ジャスティ」は、ダイハツ「トール」のOEM車。同じくOEM供給されるトヨタ「ルーミー」と3姉妹車という関係になるモデルだ。両側スライドドアを持つコンパクトなハイトワゴンで、高い人気を集めている。このジャスティも22年の長い“沈黙期間”を経て復活した車名だ。
最初のジャスティは、1984年から1994年まで販売されたコンパクトハッチバック。当時のスバルの軽自動車、レックスをベースにボディを拡大し小型乗用車規格とし、1.0リッターまたは1.2リッターエンジンが搭載された。現在の金属ベルト式のCVTとは異なるが、電磁クラッチ式のCVTを搭載し、世界で初めてCVTを搭載したモデルとして有名だ。
22年間国内では販売されていなかったが、海外では2011年まで3世代にわたり販売されており、それぞれスズキ→スズキ→ダイハツからOEM供給されたモデルだった。つまり、最初のジャスティ以降、全てOEM供給されたモデルということも興味深い。