ヤナセ(吉田多孝社長)は5月27日、2021年3月期の連結決算を発表。売上高は4526億8600万円となり、20年3月期(前期)と比べ3.8%の増収を果たした。経常利益は中古車販売事業の利益率の向上や販売費、一般管理費の圧縮効果も寄与し98億円(前期比68.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は67億900万円(同53.8%増)と伸長。また、当連結会計年度末の純資産は612億8800万円(同8.4%増)、自己資本比率も在庫商品の順調な販売で資産の圧縮が進み、前期を7.1ポイント上回る29.7%となった。
21年4月1日に、中古車販売事業のうちブランドスクエア事業を、新たに設立したヤナセブランドスクエア株式会社に対して会社分割による移管を決定し、同事業の発展拡大に向けた体制整備を図っていく。
新車販売事業では、主力のメルセデス・ベンツは、昨年7月に投入されたSUVの「GLB クラス」や「GLA クラス」が好調に推移。また、本年1月に投入の「Sクラス」や、順調に入荷が進んだ「Gクラス」も実績を伸ばし、収益向上に寄与した。アウディは昨年7月に投入の「Q3」が販売をけん引し、「A1」や「A6」、「Q7」等も堅調に推移。ポルシェは前年度に投入の「911」が順調な売れ行きを示し、「カイエン」も好調に推移した。また、キャデラック、シボレー、BMWも堅調だった。年度を通じた入荷遅延など、コロナ禍による影響があったものの、新車販売台数は3万1004と前期比3.0%減に留まった。
中古車販売事業では、メルセデス・ベンツサーティファイドカーセンターの新設や「ブランドスクエア福岡」の移転等販売網を拡充。また展示車両をライブ映像で確認できるオンラインサービスや、WEB広告手法の導入で販売機会を創出した。さらに、他社ブランド商品や低年式・多走行車の拡充で商品量も増強。中古車需要の高まりも相まって、中古車販売台数は4万333台で前期比0.3%増となった。
アフターセールス事業は、工場内での整備員の作業動線の見直しや点検作業の定型化、車検・点検整備の完全予約制の導入などで、生産性向上とコスト削減に努めた。コロナ禍の影響で一般整備需要が減少し、アフターセールス事業全体の売上高は前期比1.2%減となったものの、収益性の高い車検台数の増加などで増益を果たした。
◆2021年3月期(20年4月1日~21年3月31日)連結業績
売上高:4526億8600万円(対前期増減率103.8%)
営業利益:95億1200万円(対前期増減率166.9%)
経常利益:98億円(対前期増減率168.7%)
当期純利益:67億900万円(対前期増減率153.8%)
◆連結財政状態
総資産:2065億7100万円
純資産:612億8800万円
自己資本比率:29.7%
有利子負債:328億7000万円(社債含む)