すべてを一新 明らかに進化した動的・静的質感 日産・ノート 試乗記

all 試乗レポート

“常識を超えるコンパクトカー”をコンセプトに、昨年末フルモデルチェンジして発売された日産・ノート。3代目となる新型は、新プラットフォーム採用やデザインの一新をはじめ、第2世代e-POWER採用によって、動的質感も向上。先進安全運転支援機能のプロパイロットも装備され、日産が持つ最新技術が凝縮された1台となっている。

新型ノートのボディサイズは、全長4045mm×全幅1695mm×1505mm(Xのみ1520mm)、ホイールベースは2580mm。先代のe-POWER Xと比べ全幅は同一ながら全長は55mm短く、全高は15mm低くなり、ホイールベースは20mm短縮された。実寸は先代よりコンパクトになっているが、デザインの妙なのか、実車を目にするとスペック以上に大きく感じる。

エクステリアは「タイムレス ジャパニーズ フューチャリズム」という新しいデザインランゲ―ジを用い、新しい日産ブランドのロゴや新型のVモーショングリルなどを採用。昨年発表された新型EVクロスオーバー「アリア」にも通じるデザインが印象的となっている。

インテリアは、運転席のメーターパネルとナビ画面が、バイザーレスで並列に配置されたインパネ周りの造形が特徴的。さらに、水平基調のロングコンソールを採用することで、コンパクトカーと感じさせないワイドかつ見晴らしの良い視野を実現している。

後席の足元空間もコンパクトカーしては広く、身長177cmの筆者が座っても圧迫感も無かった。

プラットフォームは、ルノー・日産・三菱アライアンスによるCMF-Bに刷新。パワーレーンは、1.2Lガソリンエンジンでモーターを駆動するための発電のみを行い、その電力を使って全てモーターで駆動するシリーズハイブリッドの「e-POWER」のみ。モーターは先代比で10%、トルクで6%出力向上したことに加え、新開発されたインバーターは、軽量・小型化を実現している。この結果、モーター最高出力116PS/最大トルク280Nmまで性能が向上されている。

 

■扱いやすくなったワンペダルドライブ

走り出して感じるのは、静粛性が明らかに向上していることだ。アクセルを半分ほど踏み込むとエンジンが始動したが、そのエンジン音も静かでステアリングに伝わる振動も微細に抑えられていた。従来だと特に高速域でいかにもエンジンが動いているというようなフィーリングだったが、新型ではこういった部分も大きく改善されていた。

さらに、荒れた路面に差し掛かった時にエンジンを始動させ、滑らかな路面になるとエンジンをできるだけOFFにする制御としていることも功を奏しており、静粛性の高さはワンクラス上のレベルにある。

e-POWERと言えばワンペダルドライブが持ち味の一つだが、新型は加速でのアクセルの踏み込み加減に応じた過不足ない走り、唐突さのない減速を実現しており、このあたりの質感の高さに進化を感じた。特に減速時の唐突さは車酔いにもつながる一つの要因だが、新型ではワンペダルでも自然な感覚となっていた。

また、先代ではワンペダルで停止までできたが、新型では時速約5kmでクリープ走行になることも変更点。停止まで行うのは未来感があり電動車らしい演出だが、従来のe-POWERでは特に駐車時に煩わしさを感じていたので、クリープが発生する新型の制御の方が扱いやすさは上回る。

プラットフォームが刷新されたこともあり、従来に比べるとボディー剛性は30%、サスペンション剛性は10%、ステアリング剛性は90%それぞれ向上。これによって乗り心地やステアフィールが骨太になった印象で、動きに緩慢さはない。ハンドリングは扱いやすさを重視しながら、程よい操舵感のあるセッティングで応答性も良好なので、街中でも高速でもしっかりとクルマを操作しているという感覚が得られる。

橋脚の段差や路面の凹凸ではサスペンションのストロークが感じられ、入力も上手くいなされており、乗り心地でも先代からの進化を感じさせる。ロールはそれなりに出るものの、その出方が自然でタイヤの接地感が失われていないので、同乗者が不安を覚えることはないだろう。

ナビリンク機能が搭載されたプロパイロットの制御は、起動させてから車線と前走車を直ぐに認識し、しっかりと車線の中央を走る。加速では、前走車が急にいなくなった時でも、ACC作動時の設定上限速度までの急加速が無く、安心して使える。

加えて、減速においては前走車の寸前までシステムがブレーキをかけず、我慢できずにドライバーが先にブレーキを踏んでしまうということがほとんどなく、自然な減速で不安や恐怖を感じさせなかった。このあたりの制御は熟成の域に入っており、プロパイロットはスバルのアイサイトと並んで、国産車の先進安全運転支援装備の中では抜きんでた存在と言える。

唯一苦言を呈するとすればオプションの内容と価格設定だ。車両本体価格を見れば202万9500円~218万6800円(2WD)だが、プロパイロットを装備する場合42万円、9インチナビは約35万というセットオプションを選択しなければならず、最上級グレードのXにこれらを装備すると乗り出し価格は300万円を超えてしまう。人によっては不要なものまでセットに組み込まれている場合もある。この内容を柔軟に組み合わせることができれば良いのであるが。

とはいえ、価格設定以外で試乗を通して欠点らしいものが見当たらなかった新型ノート。同じく2020年に登場したヤリス、フィットと合わせて、コンパクトカーセグメントを盛り上げる存在となりそうだ。

 

 

■進化したe-POWERの実燃費検証!

Tagged