2020年はヤリス、フィットをはじめ、ハリアー、ヤリスクロス、キックス、タフト、レヴォーグなど、各社ともコンパクトやSUV系を中心に新型車の投入が多く新車市場を賑わせた。稀に見る大豊作の1年だったといえるだろう。2021年もこれに続いて大いに期待したいところである。
というわけで、今回は2021年に発売が予定されている新型車を紹介しよう。
<2021年に登場予定の各社の新モデル>
・トヨタ カローラクロス
20年7月にタイで初公開されたコンパクトSUV。クラストップレベルの荷室容量とするなど、高い実用性を備える。パワートレーンは、1.8Lエンジン+モーターのHVを搭載。
ボディサイズとしてはCセグで、ヤリスクロスとRAV4の中間になる。現在この位置にはC-HRがあるが、C-HRはクーペスタイルの個性派SUVゆえ実用性が限られるのが難点。ライズ、ヤリスクロスでは小さいが、RAV4、ハリアーまでは不要、というファミリーには最適な1台となりそうだ。
・トヨタ ランドクルーザー
もはや説明不要のキング・オブ・クロカン4WD。現行モデルは2007年の発売であり、14年ぶりの一新となる。なお弟分のプラドは22年一新の予定。
代を重ねるごとにボディサイズが大きくなってきたランクルだが、ボディ拡大もそろそろ打ち止め。新型となる300系は、ほぼ現行の200系と同程度になると予想される。
ラダーフレーム構造は継承しながら、TNGAを採用した新型プラットフォームを採用。エクステリアはキープコンセプトで進化。パワートレーンはダウンサイジング化され、現行の4.6L・V8から3.5L・V6ターボに置き換え、さらに1モーター式のHVも設定。また3.3Lのディーゼルターボも用意されそうだ。4WD機構は新開発のフルタイム式が採用されるとしており、高い悪路走破性も期待される。
・トヨタ 86
現行モデルは2012年の発売であり、9年ぶりの一新となる。
新型もスバルとの共同開発で、コンパクトな2ドアクーペというコンセプトは継承しつつ、若干パワーアップ。エンジンはスバル製・水平対向2.4Lを搭載し、現行の2Lから排気量拡大によりトルクを向上させる。トランスミッションは現行同様6MTと6ATを設定。
現行モデルには先進安全装備が搭載されていなかったが、新型ではAT車にスバル「アイサイト」が搭載される可能性が高い。
・トヨタ アクア
現行モデルは2011年の発売と、かなり長寿なモデルとなった。登場時はコンパクトカーのHVは他になく、人気が集中。扱いやすいサイズで価格も手頃とあって、売れたのも当然。
しかしヤリスHVが登場した現在、ポジションが丸被り。そこで新型はコンセプトは維持しつつ、若干ボディサイズを拡大。プラットフォームはヤリスのものを拡大し、後席、荷室スペースを改善し、ファミリーユースにも適したモデルとなりそうだ。
・日産 アリア
日産としてはリーフに続く電気自動車の第2弾。21年中盤に発売予定。既に20年7月には概要が発表されている。
全長4595×全幅1850×全高1655mmのミドルクラスSUVで、マツダCX-5に近いサイズ。日産のSUVラインナップの中ではキックスとエクストレイルの中間に位置する大きさだ。
駆動方式はFFと後輪にもモーターを備えた4WDを設定、それぞれに標準の65kWhと大容量の90kWhの2種類のバッテリーが用意される。航続可能距離は最大458kmで、リーフと同等。
価格は未定だが、最もベーシックな2WWD+65kWhのタイプで500万円を少し上回る程度、最上級の4WD+90kWhで750万円程度と予想される。
・日産 エクストレイル
21年9月頃のフルモデルチェンジ予定。現行モデルは3代目で13年12月の発売なので、約8年ぶりの一新となる。
現行モデルはやや丸みをおびた都市型SUVとしたが、新型は直線基調とし、どちらかといえばギア感の強かった先々代モデルに近い印象となると言われているから、アウトドア派に人気が復活しそうだ。
北米仕様は2.5Lエンジンを搭載するが、日本仕様はe-POWERとPHEVを搭載。e-POWERは新型ノートに搭載される「e-POWER 4WD」の出力向上版を採用、PHEVは三菱と共同開発したシステムを搭載するものと予想され、こちらは後から追加されることになりそうだ。
・日産 フェアレディZ
21年12月頃のフルモデルチェンジ予定。アリア同様、こちらも既に20年9月にプロトタイプが公開されている。
新型は7代目となるモデルで、13年ぶりの一新。デザインは初代フェアレディZをモチーフに取り入れたもので、パワートレーンは3L・V6ツインターボを搭載。トランスミッションは6MTとATを搭載する。
・ホンダ ヴェゼル
3月頃フルモデルチェンジ予定。現行モデルは13年12月の発売なので、約7年ぶりの一新となる。トヨタC-HRとともに長年コンパクトSUV市場を牽引してきたヴェゼルだが、競合車が増えた現在は古さも目立ってきており、モデルチェンジを待ち望んでいる人も多いだろう。
先代同様、新型もフィットとプラットフォームを共用。パワートレインも現行フィットと同じく1.5Lの2モーター式HV(e:HEV)とガソリンが搭載される。ガソリンはNAとターボが設定されるものと思われる。
エクステリアは現行ヴェゼル同様クーペSUVのスタイルで、ボディサイズもほぼ同等となる。最新のホンダセンシングを搭載、ホンダ車専用車載通信モジュール「ホンダコネクト」の採用など、装備面も充実することで、再び人気を取り戻しそうだ。
・ホンダ ZR-V
国内導入が期待されるリッターカークラスのコンパクトSUV。トヨタ・ライズ/ダイハツ・ロッキーに相当するモデルだ。新興国向けに開発されたモデルだが、現在のコンパクトSUV市場の盛り上がりから見ても、日本でも人気を呼びそうだ。
エンジンは、欧州シビック等にも搭載されている1Lターボを搭載する可能性が高い。
・ホンダ ステップワゴン
21年秋のフルモデルチェンジ予定。6年半ぶりの一新となる。
新型はデザインを大きく変更。上級感を向上させ、SUV風の「クロスター」も設定されるだろう。不評の「わくわくゲート」は廃止される可能性が高い。
パワートレーンは、1.5Lターボと2モーター式ハイブリッドで継続。現行モデルも走りの評価は高いから、デザイン変更で人気復活を期待したい。
・マツダ MX-30EV
1月発売予定。コンパクトクロスオーバーSUV「MX-30」のピュアEV仕様。というより、もともとMX-30はEVとして発表されたモデルだから、ようやく本命登場というところだ。
マイルドハイブリッド仕様から3か月遅れでの発売となる。なお欧州では20年9月より販売しており、欧州での価格は約400万円。
搭載するバッテリーは「Honda e」と同等の35.5kWh。ただし航続距離は軽量のホンダeに対して車重が重い分やや短くなりそうだ。
輸入車では多いEVのSUVだが、国産車ではこれが初。人気のカテゴリーだけに動向が注目される。
・マツダ MAZDA2
10月頃に一新予定。現行モデルは14年に4代目デミオとしてフルモデルチェンジされ、19年に「MAZDA2」に改名。7年ぶりの一新となる。
プラットフォームから刷新され、パワートレーンは1.5LのSKYACTIVE-Xマイルドハイブリッドをトップグレードに搭載する可能性が高い。現行モデルはパーソナルユース向きのスポーティなコンパクトハッチという位置付けだが、新型ではプレミアムコンパクトとしての性格をさらに強め、ライバルとの差別化を図る。
・スバル レガシィアウトバック
レガシィベースのクロスオーバーSUV。セダンのB4は既に販売を終了しており、現行アウトバックも21年1月で販売を終了する。
次期型は北米では既に販売中だが、日本では秋以降に導入される見通し。新型プラットフォーム(SGP)を採用し、北米仕様では2.5Lと2.4Lターボエンジンを搭載しているが、国内ではレヴォーグに搭載された1.8Lターボを搭載する可能性もある。
ボディサイズやエクステリアのデザインは現行モデルとあまり変わらず、キープコンセプトでの進化となる。
・スバル WRX S4
WRXシリーズはハッチバックの「WRX STI」と4ドアセダンの「WRX S4」で構成されるが、ハッチバックは19年末で販売を一旦終了しており、現在はセダンのみ継続中。予定では21年中盤にセダン「S4」がモデルチェンジ、22年にハッチバックがモデルチェンジされる。
新型S4は基本的にはレヴォーグに近い内容で、プラットフォームやボディ構造は共用。エンジンは水平対向の2.4Lターボが搭載される。なお同時期にレヴォーグにもこの2.4Lターボが追加される計画となっている。
・ダイハツ ムーヴ
6月頃に一新予定。キープコンセプトでの進化となる。
DNGAプラットフォームを採用し、剛性を高めながら軽量化することで、燃費性能や加速力を向上。基本性能を底上げする。先進安全装備の進化も期待される。タフト同様、電動パーキングブレーキや全車速ACCも搭載され、装備面では先行するN-WGNを追撃する。
スーパーハイト人気が全盛の現在、存在感が薄れつつあるハイトワゴンだが、新世代への進化で再び注目を集めそう。実用モデルだけに安定した販売は期待できそうだ。