米ゼネラルモーターズ(GM)は10月20日、テネシー州スプリングヒル組立工場を電気自動車(EV)の生産拠点へ転換すると発表した。ミシガン州デトロイト・ハムトラミックの“ファクトリー・ゼロ(Factory ZERO)”、オリオンタウンシップにあるオリオン組立工場に続く、GMにとって3番目のEV工場となる。また、将来のクロスオーバーモデルやフルサイズピックアップトラックの生産に向けて、ランシングのデルタ・タウンシップ組立工場やフリント組立工場など、ミシガン州内の5つの工場への投資を正式に表明している。
スプリングヒルで製造される最初のEVは新型「キャデラック リリック」で、続いて「キャデラック XT6」および「キャデラック XT5」が生産される予定で、この工場では従来のキャデラックの内燃機関車と電気自動車の両方を生産していくという。なお、各モデルの発売時期や追加製品の詳細については、後日の発表を予告している。
米国内の6施設への総投資額は合計20億ドル以上で、2009年以降にGMが米国の生産拠点に投資、あるいは投資を表明した総額は290億ドル以上となった。
<テネシー州スプリングヒル工場への投資計画>
- ラグジュアリーSUV「キャデラック リリック」を含む全電動自動車を生産するため、スプリングヒル工場に20億ドルを投資。工場内のペイント部門とボディショップが大幅に拡張され、アッセンブリのエリアは、新しい機械、コンベア、制御機器、工具などの導入によって全体的に刷新される予定。スプリングヒル工場の改修工事を直ちに開始する。
- 「GMC アカディア」の次世代モデルの生産をランシングのデルタ・タウンシップ組立工場に移行するため、1億ドルを超える投資を実施。
- 米国およびカナダの市場で大きなシェアを獲得しているヘビーデューティーピックアップトラックの「シボレー シルバラード」および「GMC シエラ」を将来的に生産するための投資として、フリント組立工場に3,200万ドルを調達する。
- フルサイズピックアップトラックや新型「シボレー タホ」および「サバーバン」、「GMC ユーコン」および「ユーコンXL」、「キャデラック エスカレード」などの主要製品に搭載されているGM製10速トラック用トランスミッションのオートメーション化を強化し、生産能力を高めるため、ロムルスのパワートレイン工場に1,700万ドルを投資する。
- オリオン組立工場には350万ドル、さらにブラウンズタウン・チャーター・タウンシップのGM製造拠点に75万ドルを投資。いずれの投資も、オリオン組立工場における「クルーズAV」のテスト用車両の追加生産に関連している。
GMはこの19カ月間EVの生産設備を導入するために、米国内の3工場に45億ドル以上を投じている。今年1月、GMは現在“ファクトリー・ゼロ”と名付けられたデトロイト・ハムトラミックの組立工場に22億ドルを投資すると発表。“ファクトリー・ゼロ”工場で生産される全電動ピックアップトラックやSUVの中で、最初にピックアップトラック「GMCハマーEV」の生産が2021年後半に開始され、その後すぐに自動運転EV専用モデル「クルーズ オリジン」を生産する予定で、“ファクトリー・ゼロ”が完全に稼働すれば、今回の投資により2,200人以上の雇用が創出されることになる。また、新型EVピックアップトラックの発売に関連するサプライヤー設備やその他のプロジェクトにも8億ドルの追加投資を実施する。
2019年3月には、GMはオリオン工場へ3億ドルを投資してシボレーブランドの新型EVを生産し、同工場で400人の新規雇用を生み出すと発表した。この新型シボレーEVは、既存の「シボレー ボルトEV」のラインアップに加わるとともに、数々の賞を受賞した現在のボルトEVのアーキテクチャの最新版をベースにデザイン・設計される。
さらにGMとLG 化学は、合弁会社Ultium Cells LLCを設立し、23億ドル以上を投じてオハイオ州ローズタウンに最先端のバッテリーセル工場を新設し、1,100人以上の新規雇用を創出する見込みで、現在工場建設は順調に進んでおり、この新たなバッテリーセル工場が、全車電動化の未来に向けたGMの取り組みにおいて重要な役割を果たすことになると述べている。