パナソニック、映り込みを低減したアンチグレアタイプの車載ディスプレイ用反射防止フィルムを製品化

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パナソニック株式会社 インダストリアルソリューションズ社は10月12日、コストパフォーマンスに優れたウェット製法で、映り込みを低減したアンチグレアタイプの車載ディスプレイ用反射防止フィルム 品番:MUAG8(G200N)を製品化したと発表した。なお、10月14日から15日に開催されるSID Vehicle Displays Online 2020(https://www.vehicledisplay.org/)に出展する予定で、現在はサンプル対応を開始しており、量産は2021年4月を予告している。

 

アンチグレアタイプとは映り込み防止のタイプの一種で、表面が凹凸に加工されているため外光を分散させて画面表面への映り込みが少なく、目の負担が軽減されるという特徴を有している。

 

センターインフォメーションディスプレイやサイドディスプレイなどの車載ディスプレイの大型化、高精細・高画質化、異形状化、操作性向上が進化する中、安全・快適に運転をするために、ディスプレイは見やすく瞬時に情報を得られる必要があり、映り込みの低減が強く求められている。車載ディスプレイの映り込みを低減するためには最表面に反射防止機能が必要となり、反射防止には大画面化や異形状化に対応しやすく衝撃時の飛散を防ぐフィルムを貼合する方式が適しており、開発品は反射防止フィルムの製法としてウェット製法を採用している。

 

ウェット製法は、生産リードタイムが短いなどコストパフォーマンスに優れる一方で反射防止特性に課題があったが、同社は課題に対して独自の樹脂設計技術、ハードコート材料設計技術、ナノコーティング技術により、反射率を0.5%以下に抑える低反射特性を実現した。また、厳しい使用環境下でのフィルムの劣化に対してはDIN規格をクリアするハイレベルの耐候性があるほか、独自の光学材料設計によるフィルムの赤外線透過率が高いため、ディスプレイの周辺部にドライバーモニタリングシステムなどの赤外線センサーを配置する場合、検知に必要な光量が確保できればセンサー部を覆ってのフィルムの貼り付けが可能となり、センサー受光部の穴開け等の工程削減やデザイン性の向上に寄与する。

 

<開発品の特長>

①コストパフォーマンスに優れたウェット製法で、反射率0.5%以下の低反射特性を実現

入射光は反射防止膜の表面と裏面で反射するが、反射防止膜の屈折率と膜厚を最適化すれば、裏面反射光の位相が反転することで表面と裏面の反射光が相殺され、低反射性が得られる。独自の「樹脂設計技術」「ハードコート材料設計技術」を用いた高屈折率膜と低屈折率膜を複数組み合わせ、さらに独自の「ナノコーティング技術」によりフィルム上に成膜することで反射光を相殺し、業界で初めてウェット製法で0.5%以下の低反射率を実現した。

 

 

② DIN規格(ドイツ工業規格)に準拠するハイレベルな耐候性

車室内の厳しい環境下で、反射防止フィルムには変色や膜剥がれなどのフィルム劣化が大きな課題となっており、開発品では、高温下でのUV照射と低温下での湿潤を繰り返すDIN75220(Z-in 1)に準拠した耐候性試験後に、より条件の厳しいクロスカット密着試験を実施して膜剥がれがないことを確認している。

 

③90%を超える高い赤外線透過率

独自の光学材料設計によるフィルムの赤外線透過率が90%を超えるため、ディスプレイ周辺にドライバーモニタリングシステムなどの赤外線センサーを配置する場合、フィルム越しに検知に必要な光量が確保できればセンサー部を覆ってのフィルムの貼り付けが可能となる。それにより、センサー受光部の穴開け等の加工をする必要がなくなり、工程削減やデザイン性の向上に寄与する。

 

<性能表>

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