フェラーリのワンオフモデルラインから誕生した最新作「Ferrari Omologata(フェラーリ・オモロガータ)」が、本国フィオラノ・サーキットでプレミアを飾った。
特別な顧客のみがオファーができるフェラーリのワンオフプロジェクトがスタート(正式には復活)したのは今から12年前。自動車愛好家としても知られた日本人顧客がオファーした「SP1」に始まり、2012年には著名なミュージシャン、エリック・クラプトン氏のために製造された「SP12 EC」が発表され話題となった。
今回のオモロガータは、発表によると“目の肥えたヨーロッパの顧客”からの依頼で、最初のスケッチ提示から完成まで約2年を要した。オモロガータとは、「ホモロゲーション取得済み」の意味。フェラーリの使い勝手と扱いやすさを一切損なうことなく公道でのホモロゲーション(認証)取得に向けた、主に安全上の制約を満たすための開発作業を通じて交わされてきたキーワードだという。
オモロガータ開発における最初のアイデアは、レーシングの伝統からSF、現代建築まで、さまざまなインスピレーションから生まれたイメージを出発点に、時代を超越したシェイプを生み出せるような未来的なデザインをつくることであった。
ベースモデルは、V12フロントエンジンを搭載する「812スーパーファスト」。目指すアイデアを実現するためにフラヴィオ・マンツォーニ氏率いるデザインチームは、812スーパーファストの特徴であるミッドフロントレイアウトのプロポーションを生かしつつ、さらにエアロダイナミクスを追求した流線型のデザインを生み出すことを目指した。
デザインチームはまず、フラットになった楕円形グリルを出発点として、徐々に広がるフロントのボリューム感を決定。ボンネットを包み込むストライプによって、フロントホイールアーチがより強調される意匠とした。
リヤクォーターウインドウを取り払ったことで、ドア後方のラインは上方のリヤスリークォーターパネルに溶け込み、より一体感とボリューム感のあるデザインとした。
存在感のあるせり上がったリヤスポイラーは、ダウンフォースを得るだけではなくアグレッシブさを表現。テールランプは特徴的なシングルタイプが採用された。さらにボディカラーのレッドは、このモデル専用に開発された。
一方室内は、フルブラックのインテリアを基調に、レザーとJeans Aunde®ファブリックを組み合わせたエレクトリックブルーのシートを採用。ダッシュボードとステアリングホリールの金属製パーツは、1950〜60年代の偉大なGTレーサーやフェラーリのエンジンカムカバーと関連する、ひび焼き塗装効果で仕上げている。
インナードアハンドルやF1バッジなどのディティールでは、往年のGTカー、フェラーリ・250LMや250GTOなどに見られるハンマー塗装効果が用いられている。
ベースの812スーパーファストから残されたボディ要素はフロントウインドウとヘッドライトのみ。クルマの細部にいたるまで、特注モデルふさわしい高尚なデザインを実現した。