本田技研工業は8月27日、新型電気自動車(EV)「Honda e(ホンダ イー)」を10月30日に発売すると発表した。新型車は、世界初採用となるインストルメントパネルに設けられた五つのスクリーンをはじめ、クラウドAIによる音声認識と情報提供を同社初採用した。インストルメントパネルを使った充電中の車内の過ごし方や、愛着が深まるクルマとの関係づくりなど、これまでにないEVの新たな価値を提案し、年間1000台の販売を計画する。
■後輪駆動のEV専用プラットフォームを採用
新開発されたプラットフォームは後輪駆動のEV専用となり、前後重量配分を50:50とし、最高出力154PS、3.0L V6エンジン並みの最大トルク315Nmを発揮する電動モーターをリヤに搭載する。
バッテリー容量は35.5kWh、満充電で283km(WLTCモード)走行を実現。急速充電にも対応し、30分の急速充電で走行可能なレンジを202kmとするほか、家庭/公共AC充電コンセント(~3.2kW)では9.6時間での満充電を可能としている。
サスペンションには、基本性能に優れたストラット式による4輪独立懸架を採用。シビックなどに使用する容量の大きなダンパーとの組みあわせで、上質な乗り心地とキビキビとした走りを実現している。
リヤ駆動であることから回生ブレーキは後輪に作動するが、回生ブレーキと4輪の油圧ブレーキの配分をリアルタイムで緻密に制御することで、雨の日や急ハンドル時でもリヤの滑りだしを回避。安定性を確保しながら、積極的な回生ブレーキの作動によって、航続距離に貢献している。
また、モーターのリヤ配置と、ステアリング機構や補機類、サスペンションの配置、ボディ骨格の形状を工夫することで、16インチ、17インチタイヤともに最小回転半径4.3mを達成。片側1車線で楽にUターンできる性能を持ち、都市型コミューターとしての能力も高い。
■先進技術を数多く搭載
ホンダeは同社初の量産EVであることから、最新鋭の技術も数多く搭載されていることも大きな特徴。インテリアには、世界初となる五つのスクリーンを水平配置する「ワイドビジョンインストルメントパネル」を採用。このうち、中央には12.3インチスクリーン2画面を配置し、運転席や助手席でそれぞれ表示機能を選択したり、左右のアプリを入れ替えたりなど自在な操作性を実現している。
さらに、昼夜天候を問わずに安心な視界を確保できるよう、サイド/センターカメラミラーシステムを搭載。世界初の量産車標準装備となるサイドカメラミラーシステムは、170万画素の高精細カメラを採用し、カメラの映像はインストルメントパネル左右に配置された6インチに表示される。雨天時でも雨が付着したサイドウインドウを通さず、モニターで鮮明な映像が確認できる。
クルマは常時インターネットに接続されており、クラウドAIによる音声認識と情報提供を行う「ホンダパーソナルアシスタント」も同社初採用されている。「OKホンダ」の言葉で起動し、従来の音声認識システムより自然な言い回しに対応する。
加えて、クルマにダウンロード可能なアプリをはじめ、車内に100Vコンセント、USBやHDMI差込口などを装備。ワイドスクリーンで映画やゲームも楽しめ、充電中の車内の過ごし方や、愛着が深まるクルマとの関係づくりなど、これまでにないEVの新たな価値を提案していることも注目点だ。
また、スマートフォンアプリを使用し、車両のロックやロック解除ができるデジタルキーだけでなく、国産車で初めてパワーオンまで行う機能を実装。デジタルキーを持って近づくとドアのアウターハンドルがポップアップするほか、スマートフォンからエアコンの遠隔操作や、ナビの目的地設定も可能となっており、シームレスなカーライフをサポートする。
■親しみやすいデザイン
エクステリアは、円を基調としたキャラクターとし、新しい時代に馴染むシンプルでモダンなデザインを目指した。デザイン面では、見せる要素と見せない要素を明確化することで、よりアイコニックな要素であるフロントグリルを際立たせた。
EVに必要不可欠な充電/給電ポートはフロントの中央に配置し、リッドは触り心地が良い全面ガラスとすることで、毎日使う場所だからこそシンプルで美しいデザインとしている。
インテリアは先進装備を搭載しつつ、シンプルで心安らぐリビングのような空間を追求。ワイドディスプレイ下のパネルや、シフトセレクター付近にウッド調パネルを配するとともに、スイッチ類を極限まで減らすことで、シンプルなデザインと人にやさしい操作性を両立した。
また、シートとドアの表皮をメランジ調のファブリック、ブラウンのシートベルトやダウンライト式LEDルームライトにより、モダンな空間を演出する。
【希望小売価格】
ホンダe=451万円▼アドバンス=495万円