スズキ、富山県朝日町、博報堂は、先に締結した「地域の移動課題解決に向けた連携に関する協定書」に基づき、富山県朝日町にて地域住民の移動サポートに関するMaaS実証実験を開始することを8月6日に公表した。
スズキは、上記実験について、朝日町の住民の移動課題の解決を目指すとともに、国土交通省の「自家用有償旅客運送」制度に即し、自家用車を活用したMaaSソリューションの開発、実用化の推進を目的とするもので、朝日町が提供する公共交通サービス「ノッカルあさひまち」として、スズキの軽自動車および博報堂が開発中の自家用車を活用したMaaSシステムを使用し、実証実験期間中、まずスズキの軽自動車を町の職員が運転し地域住民を送迎する形で「ノッカルあさひまち」のサービスを開始し、その後、自家用車を保有する地域住民からドライバーを募り、同じ町内の住民を送迎する形へサービスを移行していくと説明している。
上記取り組みは、朝日町の交通事業者である有限会社黒東自動車商会および株式会社スズキ自販富山、株式会社ヴァル研究所の協力のもと、2020年8月から2021年3月まで実施予定で、当初は無償にて開始し、のちに有償サービスへの移行を計画していると述べている。
朝日町は、高齢に伴う運転免許返納者の増加などにより、住民の公共交通サービスへの需要が高まる中、バス・タクシーなどの公共交通に加え、将来にわたり持続可能な規模で行う住民同士の送迎という新たな移動手段を提供することで、地域コミュニティの再興も図るほか、将来的には、顕在化し始めている地方への移住・多拠点居住の動きの中で、町に居住する上での移動課題を解決し、関係人口の創出に繋がるような公共交通サービスを目指すと述べた。
スズキは、この取組みへの参画を通し、高齢に伴う運転免許返納者の増加や、人口の減少による公共交通の衰退など、地方住民の移動における課題に向き合い、持続可能な形での課題解決に関わることで、地域や産業の振興および地方住民との共存を図っていきたいと述べている。
また博報堂は、日本版MaaSのあるべき姿のひとつとして、地域の自治体や住民と共に考える「地域交通全体の次世代化」が、地域の移動課題解決に不可欠と考えており、今回の取り組みにおいても、地域の生活者や交通事業者とともに、交通課題解決に繋がるサービスやシステムの開発を推進し、現在開発中のシステムについては、朝日町が認定した町内各地域のドライバーと、ユーザーをマッチングすることで、認定ドライバーが自家用車を活用して、同地域のユーザーを目的地まで送迎するMaaSシステムであると説明している。
<ノッカルあさひまちサービス概要>
各地区と中心街を行き来するドライバーの車に、移動したい乗客が「乗っかる」仕組み。ドライバーは助け合いの精神のもと、自分の予定に合わせて、近所の利用者を自分の車に乗せて、目的地まで送迎する。利用者は、ドライバーの予定を見て事前に予約し、ドライバーの車で目的地まで移動する。