美しいスタイルと使い勝手を両立するBMW最小の4ドアクーペ 2シリーズグランクーペ 試乗記

試乗レポート

クーペ、カブリオレといった2ドアタイプと、ファミリーユースに応える室内空間の広さが持ち味のアクティブツアラー、グランツアラーというモデルを持つBMW・2シリーズに、新たに4ドアクーペの「グランクーペ」が加わった。この2シリーズグランクーペは、前輪駆動プラットフォームをベースに開発されたBMW初のコンパクト4ドアクーペとなる。

BMWの4・6・8シリーズは元来2ドアタイプのモデルがメインであったが、2012年に6シリーズにグランクーペが設定されて以降、4シリーズ、8シリーズと順次拡大。優雅なデザインとスポーティな走行性能、4ドアならではの高い利便性などが支持を集め、今回2シリーズにも導入されたことで、幅広いラインナップが揃うこととなった。

2シリーズグランクーペのボディサイズは、全長4540mm×全幅1800mm×全高1430mm、ホイールベース2670mmで、2005年にデビューした5世代目の3シリーズ(E90)の全長4525mm×全幅1815mm×全高1440mm、ホイールベース2760mmとほぼ同じ。取り回しに苦労することもなく、都市部で日常的に使うことに適したサイズ感を実現している。

また、前輪駆動プラットフォームを採用し、後輪駆動の2シリーズ クーペと比較して後席の足元スペースは約33mm拡大、荷室容量も約40L増の430Lを確保。身長177cmの筆者が後席に座ってみると足元も思いのほかスペースがあり、膝前は握りこぶし1個ほどの余裕があった。

ボディ後端にかけてなだらかに下るルーフラインとすることで流麗なスタイルを手に入れたが、特に後席に乗り降りする際は屈むような体勢となった。着座姿勢は問題ないものの頭上はこぶしが入るほどのスペースはなく、居住性はセダンに分がある。

国内に導入されるパワーユニットは、直列3気筒1.5Lターボ(最高出力140PS/最大トルク220Nm)+7速DCT、直列4気筒2.0Lターボ(最大出力306PS/最大トルク450Nm)+8速ATの2種類を設定。今回は後者のM235i xDriveに試乗した。

 

■2.0Lターボとは思えないパワフルな走り

インテリアは、半時計回りのタコメーターが採用されたデジタルディスプレイなど、BMW最新のデザインに則ったもの。後席と同様に屈むような姿勢で運転席に乗り込むと、スポーツカーを思わせる低い着座位置が印象的だ。1750-4500rpmの広域で最大トルクを発揮するので扱いやすく、走りだしから力強い加速を体感でき、高回転までの吹け上がりの良さや滑らかさは特筆すべき点である。

フラット感がある乗り心地は硬めで、時速40kmまでの速度域でその傾向は顕著だが、身体が揺さぶられるほどの突き上げは感じさせない。エンジンルームからの音や風切音も抑え込まれている点では上質さを感じさせたが、ランフラットタイヤ装着の影響からか、路面の状況によっては比較的大きいロードノイズが伝わってきた。

一方で、BMWの「M」を冠するモデル全般に言えるが、乾いたエキゾーストノイズはかなり主張が激しい。特に3000rpmを超えてシフトアップ・ダウンした際は「ブォン」という音がキャビン内まで伝わり、積極的にパドルシフトの操作を楽しみたくなる演出は、スポーティ派のドライバーも好みそうである。

ステアリングはしっかりと操舵感のある重めの設定だが、BMWならではの操作に対する応答性の高さは2シリーズグランクーペにおいても健在。狙ったラインを正確にトレースし、クルマとの一体感も高いレベルにある。

走行モードはスポーツ、コンフォート、エコの3種類が用意されているが、かなり特性が異なる。エコモードにすると乗り心地が良くなるが加速レスポンスが緩くなり、スポーツはその逆のパターンとなり、街乗りの速度域での使用はあまり推奨できない。インディビジュアルで細かく特性を変更することもできるが、ワインディング以外では基本的にコンフォートモードでも性能に不足を覚えることはない。

運転支援機能は、レーンチェンジウオーニング、後部衝突警告機能、クロストラフィックウオーニング(リア)、アクティブPDC、スピードリミット情報表示機能などを備えた「ドライビングアシスト」を標準装備。だが、車線中央付近を走行するようにステアリングを制御する機能や、3シリーズなどに搭載される「ハンズオフ」機能は非搭載となっている。最近では一部の軽自動車にも採用されており、特にM235iは665万円という価格を考えると付いていてほしい機能であった。

 

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