15年以上のモデルも! モデルサイクルが長い国産車

コラム・特集

最新技術の装備だけでなく、ユーザーの購買意欲を掻き立てるために行われてきたのがクルマのフルモデルチェンジ。かつての4年周期から、近年では6~8年ほどに伸びてきているが、中にはこの周期を超えて生産・発売される車種も存在する。そこで今回は、国産メーカーの中で現行モデルが登場してから8年以上が経過する乗用車を紹介しよう。

▪️トヨタ

・ハイエースワゴン:2004年8月

・プレミオ/アリオン:2007年6月

・ランドクルーザー:2007年9月

・ランドクルーザープラド:2009年9月

 

ハイエースは現行型の登場から今年で16年目。今回紹介する普通乗用車・軽自動車の中では一番のご長寿モデルだが、登場以来、3度のマイナーチェンジや細かい一部改良を繰り返すことで商品力を維持。商用車登録のハイエースバンも仕事だけでなく、趣味やレジャーユースに対応するモデルとして、根強い人気を誇っている。海外では300系の新型車が発売され、日本にもこれをベースにしたグランエースが昨年末から導入されているが、ハイエースとしては今のところ現行型の発売を継続していくようである。

ハイエースやランドクルーザー/プラドは元々モデルサイクルが長いが、一方で比較的モデルサイクルが早い乗用セダンの中で目立つのが、プレミオ/アリオン。現行型登場から13年のベテランだ。長引くセダンの人気低迷の影響も感じさせるが、カローラが昨年のモデルチェンジで3ナンバー規格となった今、残された5ナンバーサイズの正統派セダンとして改めて存在価値が高まったともいえるだろう。

▪️レクサス

・CT:2011年1月

プレミアムコンパクト初のハイブリッド専売車としてデビューし、今年で9年目。これまで2度のマイナーチェンジと複数回の一部改良を実施。現在はコンパクトSUVのUXが事実上のエントリーモデルであることに加え、先日2005年の日本導入第一弾モデルの一つであったGSも今夏に終売となることがアナウンスされるなど、レクサスのラインナップはSUVに注力していると言える。

だが、レクサスのライバルであるドイツ勢は直近の2年間でコンパクトカーのエントリーモデルをフルモデルチェンジして導入し、さらに1年以内にはVW・ゴルフの最新モデル上陸も予想される。ライバルに対抗する意味でも、CTの商品力向上やフルモデルチェンジに期待したいところだ。

▪️日産

・GT-R:2009年9月

・フェアレディZ:2008年12月

・NV200バネット:2009年5月

・フーガ:2009年11月

・マーチ:2010年7月

・エルグランド:2010年8月

国産ブランドの中でも、上記以外の車種のモデルサイクルも長くなってしまっているのが日産。特にコンパクトカーの量販車として販売を牽引していくべき存在のマーチは、元々モデルサイクルが長い車種であるが現行型登場以来目立った改良がなく、今販売されている多くの車に採用されている衝突被害軽減ブレーキといった先進装備が非搭載。商品力が乏しいと言わざれるを得ない。

また、高級ミニバンのパイオニアであるエルグランドも、アルファード/ヴェルファイアの影に隠れてしまった感がある。

e-POWERに代表される電動化技術やプロパイロットといった、独創的で秀でた技術を持つメーカーだけに、これらを採用した車種のさらなるラインナップが望まれる。

▪️三菱自動車

・デリカD:5:2007年1月

・i-MiEV:2009年6月

・RVR:2010年2月

近年はPHEVなどの電動化や、SUVの開発に注力している三菱自動車。ミニバンでありながら本格的な4WDシステムを採用し、多くのファンを持つデリカD:5は、現行型登場以来長らくフルモデルチェンジは実施されていないが、昨年行われたディーゼルモデルのみ行われたビッグマイナーチェンジでは、大胆なフロントマスクを採用するととも位に、8速AT搭載で走行性能や静粛性も大きく高めた。

RVRは現行型で2度のマイナーチェンジを行い、昨年の一部改良で三菱のフロントデザインコンセプトの「ダイナミックシールド」を進化させ、洗練された印象とした。

今後はアライアンスを組むルノーと日産との技術やプラットフォームの共有も想定されるが、その中でも三菱自動車らしい個性やエッセンスが注入されたモデルの登場に期待が集まる。

▪️ダイハツ

・アトレーワゴン:2005年5月

アトレーワゴンは、ダイハツの軽商用車であるハイゼットの乗用モデルにあたり、今年で15年目。フルモデルチェンジこそ行われていないが一部改良は頻繁に行われており、衝突被害軽減ブレーキを含む同社の先進安全装備「スマートアシストⅢ」も全車に標準装備されるなど、ニーズに応えながら商品力を堅持している。

ちなみに、ライバルのスズキ・エブリイワゴンは2015年にフルモデルチェンジ。変化の少ない軽1BOXといえども、さすがに10年の開きがあると基本性能や装備面で大きな差が付く。結果、19年の販売台数はエブリイワゴン1万6910台に対して、アトレーは4949台と3倍以上も引き離されてしまった。アトレーの奮起に期待したい。

 

●車種の統廃合によってフルモデルチェンジは定期的に行われている

ここまでは現行型登場から8年経過したモデルであるが、番外編として以下に各メーカーの中で現在最もモデルサイクルの長い車種を紹介する。

▪️ホンダ

・ヴェゼル:2013年12月

N-BOXを中心とする軽自動車が好調のホンダ。乗用車は近年、海外で先行して販売していた車種を日本に導入するケースが目立っている。

その中でも、コンパクトSUVセグメントで長年販売台数を堅調に伸ばしているヴェゼル。ベースとなるフィットが今年2月にモデルチェンジされたため、ヴェゼルのモデルチェンジも待たれる。

▪️スバル

・レガシィ:2014年10月

・アウトバック:2014年10月

メインマーケットである北米のニーズに対応するため、モデルチェンジを経るごとにボディサイズが拡大されてきたレガシィとアウトバック。日本に先んじて、北米ではフルモデルされた新型レガシィとアウトバックが発売されているが、国内では現在も2014年に登場したモデルが販売されている。

北米で発売された新型レガシィとアウトバックが国内に導入されるかは現状で未定だが、今年スバルでは一昨年のフォレスター以来の新型車となるレヴォーグのフルモデルチェンジが控えている。

▪️マツダ

・MAZDA6(旧アテンザ):2012年12月

ミニバンの開発を凍結し、SKYACTIV TECHNOLOGYや魂動デザインの採用した新世代商品群でブランドのイメージを大きく変革させることに成功したマツダ。MAZDA6(当時アテンザ)も現行型登場から7年半経過するが、マイナーチェンジや細かい一部改良や意匠変更で商品力を維持してきた。この間にCX-5やMAZDA3がフルモデルチェンジされ、新たなSUVも誕生したが、そろそろMAZDA6もフルモデルチェンジを期待したいところだ。

▪️スズキ

・アルト:2014年12月

国内累計販売台数スズキ車で初となる500万台を達成し、昨年5月には初代モデルの発売開始から40周年を迎えたアルト。歴代を遡ってみても、80年~90年代を除きおよそ6~7年周期でモデルチェンジが行われており、現行型は登場から5年半。歴代のモデルサイクルを当てはめればフルモデルチェンジの適齢期ともいえ、新型モデルの登場に期待したい。

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