トヨタ自動車と日本電信電話株式会社(以下、NTT)は、両社の取締役会において、住民のニーズに応じて進化し続けるスマートシティの実現をめざし、スマートシティビジネスの事業化が可能な長期的かつ継続的な協業関係を構築することを目的として、業務資本提携に合意したことを発表した。
トヨタとNTTは、これまでもコネクティッドカー分野での協業を行ってきており、中でも、先進的技術の活用により、都市や地域の機能やサービスを効率化・高度化し、各種課題の解決を図るとともに、快適性や利便性を含めた新たな価値を創出するスマートシティ事業を、今後注力する重要な領域の一つと捉え、取り組みを始めていくと述べている。
トヨタは、本年1月7日、米国ネバダ州ラスベガス市で開催されたCES 2020において、2020年末に閉鎖予定のトヨタ自動車東日本株式会社 東富士工場(静岡県裾野市)の跡地を利用した、実証都市「コネクティッド・シティ」のプロジェクト概要を発表した。トヨタは、この街を「Woven City」(ウーブン・シティ)と名付け、スマートシティ実現に向けた取り組みを推進していくと述べている。
一方、NTTグループは、都市・まちの様々な課題解決のため、福岡、札幌、横浜、千葉などの自治体や企業等と協業を進めており、2018年12月に公表したラスベガス市でのスマートシティの取り組みにおいて、事件や事故の迅速な検知・分析や予測、最適なICTリソース管理等を実現し、他都市への展開に向けた取り組みを推進しているほか、保有する不動産の利活用においてICT技術を活用したスマートなまちづくりを推進するNTTアーバンソリューションズ株式会社を2019年7月に設立。さらに、スマートシティの重要な構成要素であるスマートエネルギー分野で事業を推進するNTTアノードエナジー株式会社を2019年6月に設立するなど、NTTグループの持つアセットを最大限活用してスマートシティ実現に向けた取り組みを推進していると述べている。
両社は、上記のような取り組みを進める中、スマートシティ化による課題解決や価値向上の効果を最大化し、地域力向上、及び国家力向上につなげるには、各社が個々のプロジェクトに取り組むだけでなく、両社が一体となり、スマートシティ実現のコア基盤となる「スマートシティプラットフォーム」を共同で構築・運営し、国内外の様々なまちに連鎖的に展開することが必要と考え、今回の業務資本提携を行うことになったと説明している。「スマートシティプラットフォーム」を共同で構築し、先行ケースとして、まずは静岡県裾野市東富士エリア(Woven City)と東京都港区品川エリア(品川駅前のNTT街区の一部)にて実装し、その後連鎖的に他都市へ展開を図っていくと述べている。
両社は、スマートシティの運営を共同推進するための資金を調達するために、トヨタは、NTTが実施する第三者割当による自己株式の処分により、NTTの普通株式80,775,400株(発行済株式総数に対する所有割合約2.07%、総額約2,000億円)を取得する。また、NTTは、トヨタが実施する第三者割当による自己株式の処分により、トヨタの普通株式29,730,900株(発行済株式総数に対する所有割合約0.90%、総額約2,000億円)を取得すると述べた。
【「スマートシティプラットフォーム」概要】
- 住民・企業・自治体等向け価値提供のセキュアな基盤として、スマートシティのデータマネジメントと情報流通、これらに基づくデジタルツイン(まちづくりシミュレーション)とその周辺機能により構成される
- また、個々のスマートシティのプラットフォーム、及び他のスマートシティのプラットフォームとの連携基盤としてプラットフォーム・オブ・プラットフォームを擁する