JAIA(日本自動車輸入組合)のメディア向け輸入車試乗会にて、ポルシェのパナメーラGTS Sport Turismoに試乗させてもらいました。
こちらのパナメーラGTS Sport Turismoは、車両本体価格だけで1988万円もするモンスターマシンです。さらにこちらの試乗車には、オプションで350万円くらい追加されている車両なので、合計で2300万円を超えるという、まさに家が買えちゃうクルマ。
このパナメーラGTSは、上位グレードのパナメーラTurboと、下位グレードの素のパナメーラの間に位置するグレードですが、もっともスポーティなキャラクターになっているとのこと。
一体どんなクルマに仕上がっているのでしょうか。
■ポルシェらしさを兼ね備えた美しいエクステリア
試乗車のパナメーラはマンバグリーンメタリックという鮮やかな緑でしたが、ホイールまで緑に塗装されていて、個人的には絶対に選ばない色ですね(笑)
せめてホイールだけは違う色だったら、また印象も変わってくると思うんですが
パナメーラGTSのボディサイズは全長5,053mm×全幅1,937mm×全高1,422mm、ホイールベース2,950mmという、5mオーバーの巨体ですが、第一印象としてはデカイというより長いという印象。
全幅も2m近くあるんですが、それよりは平べったく長いので両生類を見ているような感じがします。でもきっとボディカラーのせいでしょう(笑)
ポルシェらしからぬとデビュー当時は酷評する人も多かったですが、フタを開けてみればバカ売れしているモデルとなっています。
やはり2シーターでは、2台持ちできないご家庭では実用面から諦めるしか無かったですが、パナメーラなら4人乗れるスポーツということで1台でもデイユースから旅行までこなすこともできますしね。
ポルシェパナメーラGTS Sport Turismoは、リアビューもポルシェらしさを兼ね備えた美しさがあります。
ボディサイドにある、フロントフェンダー後方のスリットはちゃんとエアが抜けるようになっていますし、マフラーももちろん本物!
同じくフォルクスワーゲングループのアウディではダミーのデザインが多いですが、ポルシェでは機能性も伴っていて好印象です。
■内装は2,300万円の価値はあるか?
パナメーラGTSの内装ですが、ブラックの内装カラーはシックながら、ドアトリムの質感もさすがに素晴らしいです。
外装と同じ緑のステッチにヘアライン加工の本アルミのオーナメントパネルなど、使われているマテリアルもフェイク感なくて良いですね。
ドアの下部までしっかりソフトパッドになっています。
さすがに抜かり無い質感なんですが、2000万円という価格を見てしまうと、ちょっと見る目も厳しくなります。
ヘアライン加工のアルミのパネルとか、ダッシュボードまでステッチ付きの本革で覆われてるとか、たしかに素晴らしい内装ですが、アウディA8などの2倍近い価格と言われると、そこまでの価値があるのかと思えてしまいます。
もちろん、見えないところにお金がかかっているんだとは思いますが、一方でわかりやすい高級感なども感じにくいのもの事実。
これは、黒の内装カラーによる所も大きいかもしれません。黒は質感の差がわかりにくいですので。
インパネはピアノブラックで覆われていてシンプルなデザインです。
以前のポルシェのインパネは、スイッチがいろいろ並んでいましたが、昨今ではピアノブラックの面積が増えてアウディに近づいている感じがします。
天井もアルカンターラになっていたりしますが、ポルシェはオプションでどこまででもカスタマイズできるので、より高い質感を望むなら、かかるコストも青天井です。
この状態でもオプションは350万円もかかってます。ただ、ポルシェはコスパとか考えて乗っちゃダメなんでしょうね。
庶民が躊躇する価格帯くらいじゃないと、アウディよりもさらに上に位置するブランド価値も無くなってしまいますから。
■4枚ドアのポルシェ、その後席の実用性は?
続いて後席を見てみましょう。
パナメーラは後席センターコンソールが左右を分割しているので、最大4人乗りとなっています。
後席の足元空間は、5mを超えるボディながら広々という感じではありませんでした。
ルーフも低く、沈み込むような着座姿勢なので、4人乗車でもそこそこストレス無く移動できるグランドツアラーと言う感じ。
後席のセンターコンソールは、左右に開く収納があります。そこの天板もヘアライン加工された本アルミです。
後席のインパネも前席同様にピアノブラックになっていて、見栄えは良いけど指紋とかホコリが目立つのが難点。
そして、こちらの試乗車には後席のシートヒーターやシートベンチレーションも装備されていました。フロント及びリアシート、マッサージ機能&シートベンチレーションはオプションで68.9万円。4ゾーンクライメートコントロールも25.1万円のオプションでした。
選べる快適装備も充実していますが、その分、お値段も張ります。
■圧倒的な走行性能と重厚な走り
続いては走りのチェックです。
運転席に座って感じるのは、左足の置き場が狭い感じがします。
これはトランスミッションの張り出しなんでしょうけども、左足元は結構窮屈です。
ポルシェでは伝統のキーをひねるようなエンジンスターターで、4.0L V8ツインターボエンジンが始動。
遠くから「ドゥウウン!」という勇ましい音が聞こえるものの、車内は静か。
後方の4本出しマフラーから「ボボボボ」という勇ましいエキゾースト音は聞こえています。
シフトをDレンジに入れて、電動パーキングブレーキなのでソロリとアクセルを踏めば自動でブレーキホールドが解除されて走り出します。走り出してすぐに感じるのは、その重いステアフィール。
ドッシリとした重厚感はアウディのそれよりもさらに重い手応えで、過去に乗ったことある様々なクルマの中でも相当重いステアフィールとなります。
でも、それが「普通とは違うクルマを運転している」という特別感をひしひしと感じる良さでもありました。
西湘バイパスの合流で少しアクセルを開けてみますが、少し踏んだだけでもトルクがモリモリと立ち上がり、余裕のある加速を見せてくれます。
パナメーラGTS Sport Turismoの最高出力は460ps、最大トルクは620Nmとなっていますが、フロントエンジンで4WDとなっているので加速にはものすごい安定感があります。
まさに地面に磁石でくっついているかのような接地感がありながら、悠然と加速していくのはなかなか味わったことがないフィーリングです。
トランスミッションにはポルシェ独自の8速DCT、「PDK(ポルシェ ドッペルクップルング)」というもの。
DCTならではの、普通のATとも異なる、ギアが変わった変速感をしっかりと感じるダイレクトなシフトフィールで、2トンを超える重量を悠然と加速させていきます。
それでいてDCT特有のギクシャク感もほとんど感じること無く、ダイレクト感のある加速と街中での自然さも兼ね備えたトランスミッションでした。
加速フィールももちろん早いのですが、この後に乗ったジープのグランドチェロキーTrackHawkで感じた「どっかにすっ飛んでいってしまうかも」というような加速フィールではなく、スタビリティが高く安心して踏んでいけるジェントルな加速感が素晴らしいです。
ステアリングについているドライブモードセレクトは、ダイヤルを回して設定すればモード固定で走ることもできますし、中央のスイッチを押すとカウントダウンが始まって、そのカウント中だけスポーツモードにすることも可能。
高速の合流時など、ちょっとだけ加速したいときなどに20秒だけブーストできるモードみたいな感じです。
SPORTモードなどで走ると、アクセル開度に対してのエンジン回転の上昇が鋭くなり、さらにギュン!と加速する感じ。これは気持ちいいですね。
試乗車には21インチタイヤ&アルミホイールを装着していましたが、乗り心地が悪いということもなく、硬いボディシェルで不快なショックや微振動はシャットアウトされている印象。
ただ、ロードノイズは「シャー」というやや高周波が入ってきていました。このあたりは扁平率の高いタイヤを履いているから仕方ないのかもしれませんが。
ほんの少しだけ街中でも走ることが出来ましたが、街中でも不快と感じるわけでもなく、快適。
5mを超える巨体ながら、街中でも快適性も確保されていて、ファミリーで乗るにも良い車になっているなと思いました。
カリカリのスポーツ走行だけのクルマじゃ買えないご家庭もありますからね。そういうニーズにも答えてくれる、ポルシェのグランドツアラーだと思いました。
[ドラヨス]
月間100万PVのブログ「ワンダー速報」と、月間100万再生以上のYouTubeチャンネル「ワンソクtube」の管理人。
クルマ買うチューバーを自称し、年に何台もクルマを購入してレビューするスタイルが好評。
ワンダー速報ブログ:https://wansoku.com/