トヨタ車体はチームランドクルーザー・トヨタオートボデー(TLC)として、2台のランドクルーザー200シリーズでダカールラリー2020(1月5日~17日:サウジアラビア)の市販車部門に参戦。新たな挑戦としてオートマチックトランスミッション(AT)仕様のラリー車で参戦し、ガソリンクラス/ディーゼルクラスを含めた市販車部門で、全ステージ1位と2位を独占。ゴールまでその順位を堅守し、1号車(№326:クリスチャン・ラヴィエル/ジャン・ピエール・ギャルサン組)が優勝、2号車(№338:三浦昂/ローラン・リシトロイシター組)が準優勝となり、市販車部門ワン・ツーフィニッシュでチーム史上初の7連覇を達成した。
今回のダカールラリーは、舞台を南米からサウジアラビアに移して開催され、前回のペルー大会よりも総走行距離が約2100㎞長い7768㎞(うち競技区間は4723㎞)で、初日から多くの競技者がパンクなどのアクシデントに見舞われるなど、砂漠地帯を中心とした未知なる過酷な戦いが繰り広げられた。
TLCは、初のAT仕様のラリー車で参戦するにあたり、5月のモロッコでのテスト走行、7月のシルクウェイラリー、さらに10月にはモロッコラリーにテスト参戦し、合計約1万6000㎞におよぶ走行テストを重ね、2020年仕様のラリー車の性能を熟成させた。
エンジニアを中心に幾度にもわたりAT制御プログラムの検証を重ねるとともに、メカニック陣もAT仕様のラリー車の構造理解を深め、ラリー競技における整備スキルを習熟した。『サウジで勝つ! 7連覇!』を全員で心に誓い、一人ひとりが自らやるべきことを全力でやりきった結果、チーム悲願の7連覇達成につなげることができた。
同社は、自社で生産するランドクルーザーが、世界一過酷といわれる「ダカールラリー」の市販車部門に挑戦し続けることで、ランドクルーザーファン、ラリーファンの拡大だけでなく、人とクルマを鍛え〝もっといいランドクルーザーづくり〟につなげている。
◆トヨタ車体・増井敬二社長
初参戦からこれまで成し遂げられなかった市販車部門7連覇をワン・ツーフィニッシュで達成することができたことを大変うれしく思います。AT仕様のラリー車での初参戦でしたが、大きなトラブルもなく無事にゴールをすることができました。チームを支え続けてくださったスポンサー企業の皆さま、近隣地域・学校関係者の皆さま、そして多くのファンの皆さまに御礼申し上げます。このダカールラリーへ市販車部門で挑戦し続けることは、世界のあらゆる道を走るランドクルーザーを鍛えるためにふさわしい舞台であると改めて感じております。ランドクルーザーを世界中のお客さまに愛されるもっといいクルマに育てていくためにも、チャレンジを続けて参りたいと思います。
◆1号車(№326)ドライバー:クリスチャン・ラヴィエル
チームにとって念願の市販車部門7連覇という一番いい形でゴールすることができて、本当にうれしく思います。皆さんの期待にこたえることができてホッとしています。これまで約3年間にわたり、AT仕様のラリー車でのテストを重ねてきました。その甲斐もあり、大きなトラブルもなく走行することができました。サウジアラビアのコースの路面はやわらかい砂丘、砂地、岩場などバラエティに富んでおり、まさにクルマの限界にチャレンジする厳しいコースとなりました。今回も2号車と協力しあいがら、またメカニック陣による完璧な整備を受けながらゴールすることができました。最高のチームです! いつもTLCを支えてくださっているすべての皆さんに感謝いたします。
◆1号車(№326)ナビゲーター:ジャン・ピエール・ギャルサン
市販車部門7連覇という偉業に自分自身が貢献できたことをとてもうれしく思います。初めてのサウジアラビアでの大会で、コースや環境もわからない中でスタートしました。また、新たな試みとしてロードブックがラリー当日朝渡され、前日に予習もできずにコースに出るというナビゲーターにとっても難しい大会になりました。前走車の走行で巻き上がる埃に視界が奪われ、精神的にも疲れる日もありました。また、南米時代よりタフさが増したコースにリタイア車も続出し、後半には市販車部門がTLCの2台だけが参戦している状況となりました。そのような中でも集中して落ち着いてラリーに臨めたのはいつも応援してくださる皆さんのおかげです。ありがとうございました。
◆2号車(№338)ドライバー:三浦昂(トヨタ車体総務部広報室)
チームの最大目標だった市販車部門7連覇を、ワン・ツーフィニッシュで達成でき、これまでの苦労のすべてが喜びに変わるのを実感しています。初めてのサウジアラビア大会にチーム初のAT仕様のラリー車で参戦することに対し、自分自身も不安が全く無かったわけではありません。南米時代からコースの特徴は大きく変わり、普段は決してクルマが通ることはないであろう未開のコースは非常に険しい路面であり、初日からタイヤを3本パンクさせられるなど、簡単にゴールさせてくれるものではありませんでした。
一方で、AT仕様のラリー車は、連続する駆動力を活かした滑らかな走りで特に柔らかい砂丘路面では過去にないほど安心してアクセルを開けることができました。競技中は2台で協力しながら日々のゴールを目指し、キャンプ地に到着すれば必ずメカニック陣がランドクルーザーを最高の状態に整備して翌日のスタートを切らせてくれました。チーム全員に「何としても2台でゴール、7連覇する!」という強い意思が共有されていたので、最後までクルマを信じてステアリングを握ることができたと感じています。これまで支えていただいたすべての皆さんに感謝を申し上げます。ご声援ありがとうございました。
◆2号車(№338)ナビゲーター:ローラン・リシトロイシター
市販車部門ワン・ツーフィニッシュで7連覇達成できたことをとてもうれしく思います。初めてのサウジアラビアの大会でしたが、自分達がやってきたことをきちんとやれば、開催地が変わろうとも、おのずと結果はついてくると思っていました。今回は、例年前日に渡されるロードブックが、ラリーの出発直前に渡されました。最初は、予習もできずにコースに出て大丈夫か不安でしたが、そのロードブック自体が良くできていたので、安心して走ることができました。競技中、数々のパンクやマラソンステージでは、崩れた砂丘に足元を取られ、ダメージを負うなど何度も厳しい局面に何度か遇しましたが、2台で協力して対応しました。応援してくださったみなさんとチーム全員で勝ち取った7連覇だと思います。ありがとうございました。
トヨタ車体ダカールラリー2020特設サイト:https://www.toyota-body.co.jp/dakar/season2020/special.html