アジア最大規模の福祉機器展、第46回国際福祉機器展(H.C.R.2019)が9月25日から27日まで、東京ビッグサイト(江東区有明)西・南展示ホールで開催された。今回は14カ国・1地域から438社・団体が出展し〝衣食住〟から日用品、先端技術を投入した機器類が一堂に揃い、自動車メーカーからはトヨタ、日産、ホンダ、ダイハツ、スズキの5社が、快適な移動を実現する福祉車両を出展した。
なお、東京ビッグサイトでは東京オリンピック関連の工事が始まっており、同展は例年より展示規模を縮小して開催。3日間で11万9452人(前回比1万3777人減)が来場した。
■トヨタとダイハツは共同出展
昨年に続き、トヨタとダイハツは共同ブースで出展。軽自動車からラージサイスミニバンまで、幅広いサイズと機能を持つ車両計18台がブースに並んだ(含用品装着車、ジャパンタクシー)。
トヨタは、車いすのまま乗降できる車いす仕様車を中心に、車いすを使うドライバーが自身で運転することができるプリウス・フレンドマチック取付用専用車を展示。このモデルは車いすの格納を電動化したウェルキャリーが装着されている。
このほか、3月に改良されたジャパンタクシー、東京オリンピック・パラリンピックに関する展示や、現在市販に向けて開発中の歩行領域EVの一つ、車いす取付タイプの試乗コーナーも設け、来場者から使用感を収集した。
一方、ダイハツは今年7月にフルモデルチェンジしたタントの福祉車両を全面的に紹介。新設定のタント・ウェルカムターンシートを中心に、標準車に取り付けることでスムーズな乗り降りを実現するラクスマグリップ、ミラクルオートステップも紹介した。
■アドベンチャーログキャビンを展示/日産
日産は7台の福祉車両(ライフケアビークル)を展示。セレナやNV350、NV200をベースとしたチェアキャブ(車いす移動車)を中心に展示した。
中でも、注目を集めたのが「アドベンチャーログキャビン」(写真下)。福祉車両の機能と車中泊の機能を併せ持つ、セレナをベースとするコンセプトモデルで、車いすから移乗しやすく乗り降りをサポートする、助手席スライドアップシートを装着し、車内後部には車中泊のほかキャンプやレジャー、ロングドライブの休憩時に有効なベッドキットを装備した。
■新型N-WGNと国枝選手のトークショー/ホンダ
7月にフルモデルチェンジしたN-WGN(エヌ・ワゴン)をベースとした助手席回転シート車が初展示されたほか、人気のN-BOX・スロープ仕様を含め7車種9台を展示。さらに、運転補助装置のモジュールやリハビリに有効なホンダ歩行アシスト、陸上競技用車いす等が展示された。
また、同社がサポートする車いすプロテニスプレーヤー・国枝慎吾選手のトークライブも行われた。少年期に車いすテニスを始めたきっかけや、初めてクルマを運転した時の喜びの気持ち等を語った。
■車両展示に加え電動車いすの試乗も/スズキ
スズキはスペーシア・車いす移動車をはじめ、福祉車両(ウィズシリーズ)の全ラインアップ5台を展示。さらに、電動車いす(セニアカー、モーターチェア)を展示するとともに、セニアカー2タイプの試乗車を用意。ブース内にスロープを持つコースを設け、傾斜お知らせ機能等の音声案内や扱いやすさを体験することができた。なお、同社はこの展示会に第1回より継続して出展しており、今後も福祉車両や電動車いすの普及に力を入れていく。