英ジャガー・ランドローバーは、プラスチックごみをリサイクルし、新たなプレミアム・マテリアルとして将来のジャガーおよびランドローバー車両に使用する、革新的なリサイクル・プロセスの試験的な運用を開始したことを発表した。
プラスチックごみは、2050年までに世界中で1,200万トンを超えると想定されている。英ジャガー・ランドローバーは、昨今では、プラスチックごみのすべてを、特に最も厳しい品質および安全基準が設けられている車両のパーツに活用することはできない。そこで、ドイツの総合化学会社であるBASFと連携し、埋め立てや焼却予定の一般的なプラスチックごみを、新たに高品質なマテリアルに作り替える試験的なプロジェクト「ChemCycling」を始動したと説明している。
プラスチックごみは、熱化学プロセスにより熱分解油に変換され、この二次原料は、化石資源の代わりとしてBASFの生産チェーンに供給され、最終的には、高品質と機能性を実現した、プレミアムグレードのプラスチック・マテリアルの製造が可能であり、さらに、このプラスチック・マテリアルは加工や色付けが可能なため、次世代のジャガー・ランドローバー車両のダッシュボードやエクステリアの設計に使用することで、プラスチックゴミ問題の理想的な解決につながるとしている。
現在、ジャガー・ランドローバーとBASFは、ジャガー初のフルバッテリー電気自動車(BEV)である「I-PACE」プロトタイプを使って、フロントエンド・キャリアのオーバーモールドにこの新マテリアルを採用し、既存の部品と同じように、厳しい安全基準を満たせるかを検証している。この試験の結果が良好で、化学品のリサイクルが市場に受け入れられる態勢が整えば、品質や安全面で妥協することなく、プラスチックをリサイクルして生成した新たなプレミアム・マテリアルを、ジャガー・ランドローバー車両すべてに採用することが可能となる。
ジャガー・ランドローバーは、英国でのビジネスにおいて、2020年までに埋め立て地への廃棄物をゼロにする「Zero Waste to Landfill」という目標を達成しており、これは、製造ラインにおける130万㎡(サッカー場187個分に相当)のプラスチックの削減と、事業活動で発生する1,400万個の使い捨てプラスチックのリサイクルが含まれている。これらの取り組みにより、ジャガー・ランドローバーが掲げる、より安全で健康的な社会、そしてよりクリーンな環境を目指して、ゼロ・エミッション、事故ゼロ、渋滞ゼロを実現するというビジョン「Destination Zero」を推し進めることになる、と述べている。
ジャガー・ランドローバーのシニア・サステイナビリティ・マネージャー、クリス・ブラウン氏は、「ジャガー・ランドローバーでは、製造過程におけるプラスチックの使い捨てを減らし、プロダクトのライフサイクル全体から過剰な廃棄物を削減し、リサイクル素材の使用拡大を積極的に推し進めています。BASFとの連携は、サーキュラー・エコノミー(循環型経済)の実現に向けた当社のコミットメントを具現化したものです」とコメントした。