2019年の交通安全白書によれば、交通事故死者数は最近30年間で減少しているが、昨年の死者のうち65歳以上の高齢者の占める割合が55・7%となり、過去最高を塗り替えてしまった。30年前に比べて70歳以上の運転免許保有者は約30倍になっており、高齢者の交通事故防止対策は急務である。
75歳以上の高齢者が起こした死亡事故は、運転免許証保有者10万人当たりの計算で8・2件に上り、74歳以下の約2・4倍に達している。年代別に同じ換算でみると、16~19歳が11・4件と最も高く、80歳以上が11・1件で続き、30歳代が2・9件、40歳代は3・0件、50歳代が3・3件であり、70歳代でも5・1件と年代別で極端に大きなことが明白である。
年間交通事故死者数は1989年に1万1086人だったものが、昨2018年には3532人と、およそ3分の1にまで減少した。近年は低い数字は安定している。
これには、飲酒運転の厳罰化やシートベルト装着率の向上、エアバッグの標準装備化などが影響したという。さらに、近年は自動ブレーキや車線保持システムが自動駐車システムなどと同様に、モデルチェンジ時の売り物になってきている。
大津市の交差点で車両同士が衝突、そのはずみで逸走し信号待ちをしていた保育園児ら16名が巻き添えになり死傷した現場は、交差点内のゼブラゾーンを広げ、車両を減速させるとともに、車道と歩道間に金属製の保護柵を設けられた。滋賀県負担の工事費は約500万円という。
ブレーキとアクセルの踏み間違いによる急発進を防ぐ装置を購入した高齢者に対し、東京都が購入・設置費の9割ほどを補助することが決まった(1年間限定)。
オリンピック開催などで出費の余裕もある都であれば、車両購入者に過分な手数を掛けない処理こそが本当の都民サービスだと思うが…。
残る課題は「ぶつけられた時」のことである。自転車からダンプ、トレーラー、バスと、対象は異なるが、自転車にはようやく保険の話が出始めているが、大型車両はどうだろうか。手始めに走行時間制限でも行ってみると良いだろう。
有山勝利プロフィール
1937年生まれ。1960年に総合輸入車ディーラーに入社、そのまま定年まで殆ど広報作業に従事、依頼により1966年より、ブリヂストン・タイヤニュース、週刊大衆に連載執筆、筆名に有川 浩を使用、月刊自家用車、報知新聞、日刊スポーツ、スポーツニッポン、ディリースポーツ、マイカー情報(札幌)、くるまにあ にも連載、単発は無数。媒体側と広報担当の双方と交友、互助の功を上げた。