一般社団法人日本自動車部品工業会(JAPIA)は、5月1日現在での自動車部品工業の2018年度通期経営動向を発表した。対象企業は、JAPIAの会員企業437社のうち、上場企業で自動車部品の売上高比率が50%以上、かつ前年同期比較が可能な自動車部品専門企業74社で、各社の連結決算短信より集計・分析している。なお、日本基準適用企業(61社)と国際財務報告基準(IFRS)適用企業(13社)は分けての集計となった。
売上高については、前年同期比1.4%増の14兆459億円(IFRS企業 2.9%増の13兆2707億円)、営業利益は前年比15.4%減の7675億円(IFRS企業 23.0%減の7007億円)となり、売上高は増収となったものの営業利益は二桁の減益となった。
経常利益(IFRSは税引前利益)は14.9%減の7998億円、親会社株主に帰属する当期純利益は37.2%減の3643億円(IFRS企業 税引前利益20.4%減の7556億円、当期利益20.6%減の4670億円)と総じて減益となった。
前年同期比で増収・減益となった要因としては、売上高は国内外での自動車販売増加に伴い増収したものの、利益面については主に「原材料費や購入部品費の上昇」「設備投資や研究開発費の増加」等といった前向きな減益要因に加え、労務費等販管費の上昇、中国事業の採算悪化などの影響があったと分析した。
地域別セグメントでは、日本基準適用25社の売上高は、欧州、アフリカとアジア、オセアニアで増収、営業利益は全地域で減益。IFRS適用5社の売上収益は、欧州、アフリカ以外では増収、営業利益は欧州、アフリカで増益、他地域で減益となった。
2019年度通期の各社の業績見通しについては、日本基準適用企業は微減収・減益、IFRS適用企業は微増収・増益の予想となっている。不安定要素としては、米中貿易摩擦の激化、英国のEU離脱問題、日米通商交渉等があるものの、世界の自動車需要は中国以外の先進国他の堅調に支えられ、底堅く推移すると見通している。不安定要素について岡野教忠会長は「環境の変化に対応できるサプライチェーンを作っていくこと。さらなる最適化を推進していく」とした。
また、今年はJAPIAが社団法人に認可されてから50周年の節目に当たり、経営動向説明会の冒頭、岡野会長より部品産業のあゆみと未来に向けた抱負が語られた。
この50年を総括して「日本の部品産業にとって、国内主体からグローバル主体へと大きく進化した時代だった。今日、会員企業の国内での自動車部品出荷額は20兆円を超えるまでに発展し、さらに世界52カ国、2000を超える工場の展開、100万人を超える雇用の創出で、世界のクルマづくりを支えている」と述べ、今後については「自動車産業は今、大変な変革期に突入している。自動車メーカーと協力しつつ、われわれ自動車部品メーカーも果敢にチャレンジしてさらなる飛躍を実現したい」と抱負を語った。