電動車両化、安全対策、自動運転等、新世代自動車は技術開発ニーズが加速の一途にある。無視できないのはいずれもコストアップの要因になっており、自動車メーカーにとってはコストダウンも重要課題でのしかかっていることである。
小型車クラスだとストロングハイブリッドはノーマルのガソリン車に対して約50万円、プラグインハイブリッドや電気自動車はさらに70万円が上乗せされる。安全対策はパッケージで10万円、自動運転支援デバイスはステージ3レベルで20万円程度が試算される。
それぞれの新車販売における販売構成比は40~50%と比較的高いが、完全な主役になるにはもっと引き上げる必要がある。それぞれのテクノロジーのレベルとコストダウン次第だが、進化するほど売価は跳ね上がる。
自動車メーカーや扱う販売店では、その対応策の一つとして低金利の残価設定クレジットを設定している。多くが実質年率1・9%で3~5年契約となっている。5年、60回払いだと300万円以上の高額車でも2~3万円程度の均等払いで買える。こうなると、コストアップによる割高感は隠れてしまい販売しやすくなる。ただこうした措置は3カ月程度の一定期間であり、それが過ぎると金利は5~6%程度と通常金利に戻るケースが多い。
実際に残価設定クレジットで購入するユーザーは増えており、最近は新車購入全体の半分を超えている。ただ絶対的な販売推移では、コストアップによる高額な電動車両、安全パッケージ、自動運転支援車両は高いので売れ行きはあまり良くないのが現在の状況であり、今後のコストダウン努力は必要と思われる。
遠藤徹プロフィール
専門分野はマーケット分析、商品戦略、販売戦略、執筆先:ベストカー、ドライバー、ザ・マイカー、カーアンドレジャー、その他週刊誌など。単行本執筆は約20冊