ATの多段化で静粛性を大きく向上 ジープ・ラングラー試乗

試乗レポート

ジープブランドの本格オフローダー「ラングラー」が、昨年11年ぶりにフルモデルチェンジを実施。燃費性能や快適性の向上を図りながら、ひと目でラングラーと分かるスタイルを継承しながら、伝統の4WD走破性能を強化し、独自のキャラクターにさらなる磨きをかけた。

デザイン面では、ジープのアイデンティティであるフロントの7スロットグリルに、ラングラーの祖先で1955年に誕生した民間用ジープ「CJ5」をオマージュしたヘッドライトが、スロットの両端に食い込む新しいデザインを採用。ヘッドライト、フォグライト、テールランプ、デイタイムランニングライトをLED化し、ラングラーとして初めてLEDライトを搭載した。さらに、インテリアは、水平基調のダッシュボードがエクステリアと同様にCJシリーズを彷彿とさせる。

  

エンジンは新開発となる直列4気筒2.0ℓターボ、V型6気筒3.6ℓの2種類を設定。輸入車はハイオク仕様が多い中、ラングラーは両エンジンともレギュラー仕様となっていることも維持費を考えるとうれしいポイントだ。今回は3.6ℓモデルに試乗する機会を得た。

運転席に座ってみると、ミニバンのような広大なガラスはないものの、高いアイポイントとスクエアなフロントマスクによって見切りは良いので、ボディのサイズ感を掴むことは比較的容易であった。ただ、運転席の足元にはフットレストがなく、左足の置き場がないという感覚に慣れるまで若干苦労させられた。

走り出しの加速感は穏やかだが、スピードに乗ればどの速度域においてもパフォーマンスに不足はなし。347Nmの最大トルクを4100rpmで発揮するので高速の追い越し時や登坂路といった、もう一段階上の加速がほしい場面での走りもストレスはない。

ハンドリングも概ね素直で扱いやすく、緩慢さを感じさせないのは好印象。加えて、最小回転半径は4ドアモデルで6.2m(従来7.1m)と、取り回し性も大きく向上している。

さらに、トランスミッションは5速ATから8速ATとなったことで、スムーズなシフトチェンジを実現。一般道で流れに乗って走るようなシーンだけでなく、時速100km巡航でも1500rpm前後をキープするのでエンジン音が耳に届かず、静粛性向上に貢献している。見た目からは大きな進化を感じられないが、中身は大きく進化を果たしている。

一方で、ラダーフレームボディがもたらす重量感のあるクロカン四駆ならではの乗り味は健在。路面の凹凸をダイレクトに伝え、時折強いショックをキャビンに伝える。

また、ホイールベースの拡大により居住スペースが拡大。特に後席の足元空間の広さは特筆すべき点だ。後席を倒せば荷室は約2000?の容量を誇り、ほぼフルフラットになる使い勝手の高さも魅力的。オープンドライブも楽しめる着脱式ハードトップ「フリーダムトップ」や、特徴的なデザインといった子どもたちが喜ぶ要素も持つラングラー。アウトドア派だけでなく、他とは一線を画すファミリーカーを求めている人にも一度検討してほしいモデルだ。

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