国内外のヘリテージカー約120台を一堂に揃えた「オートモビルカウンシル2019」が4月5日から7日まで、千葉県・幕張メッセで開催された。
ホンダは、同社のものづくりに伝承されるMM思想~生活を豊かにする人中心のコンセプト~をテーマに、1981年に発売されたシティと、昨年発売されたN-VANをメインに展示し、過去から受け継がれる「人のためのスペースは最大に、メカニズムは最小に」というM・M(マン・マキシマム/メカ・ミニマム)思想を伝えた。
2輪メーカーとして創業したホンダは、1963年に4輪の世界に参入。1967年に発売したN360は、当時はまだ珍しかったFF方式を採用したことで、大人4名が快適に乗車できた。当時M・M思想という言葉はなかったが、まさにそれを体現したものだった。
展示車のシティも居住性や燃費、動力性能など機能を最大限に追求しつつ、エンジンやサスペンションなどメカニカル部分は最小に設計された。昨年発売のN-VANは”働くクルマ”だが、同社独自のセンタータンクレイアウトや専用のシート設計により、助手席のスペースまで低床でフラットな荷室を実現した。
さらに、センターピラーレスで助手席側にワイドな開口を持ち、テールゲートと二つの大きな開口により、たくさんの荷物が積め、積み下ろしを容易にした。いわば、N-VANにも”人中心”のコンセプトが継承されている。
■4分の1スケールモデルで先人のものづくりを学ぶ
この両モデルのほか、シティ搭載用原付バイクとして発売されたモトコンポ、その同時期に発売された発電機「デンタ」も展示。しかも、これらは実機と同色、精巧な4分の1モックアップスケールモデルも展示された。
スケールモデルは、同社のデザインスタジオの若手スタッフが制作したもので、現在の最新計測技術により、当時存在しなかった3Dデジタルデータを作成し、それを元にスケールモデルが制作されたという。モトコンポの折りたたみ式ハンドルなど、手書き図面による設計ながら複雑な機構が備わった製品を体感することで、先人へのリスペクトが生まれるきっかけとなった。