文・写真:吉田直志(automobile columnist)
神奈川県北部には、ダム湖や渓流など、水を身近に感じられる地域がある。今回は、そこから相模湾へと流れている相模川、そして、平成に入ってから完成した宮ヶ瀬ダムについて“親しむ、学ぶ”をテーマとしたドライブに出かけることにした。相棒に選んだのは、デビュー前から多くの受注を受けていた大人気車ホンダ「N-BOX」。初代モデルのアドバンテージを引き継ぎながら、ライバルを大きく引き離すかのような進化を遂げていた。
都心から50km圏内にあり、圏央道の開通によって、アクセスもだいぶ楽になり、気楽に自然を楽しめる神奈川県北部。まずは神奈川県の中央部を流れる相模川について“親しむ、学ぶ”ことにした。
最初に訪れたのは、圏央道の相模原愛川ICを下りてすぐのところにある「相模原市立史跡田名向原遺跡旧石器時代学習館」。この辺りは、川の流れが岸辺を段々に削っていった河岸段丘が両岸にあり、この遺跡も川よりも少し高台にある。ここは、2万年前の遺跡で、3000点近い石器をはじめとして、柱や炉の跡も発見され、人類の定住の歴史を知るに重要な遺跡としても全国で有名なところだ。
続いて訪れたのは、相模川の近くにある「相模川ふれあい科学館アクアリウムさがみはら」。その名称のとおり相模川周辺に生息している生き物を紹介した施設で、水槽はもちろん、餌付け体験コーナーを用意するなど、様々な見せ方によって、子供でも親しみやすい、そんな作りを特徴としている。今回はテーマが異なるため紹介はしなかったが、実は相模原市には、こういった学習施設が数多くあり、そのいずれもが充実した内容となっている。
ちなみに相模川は、乗用車でも河川敷へとクルマで下りることができる場所がいくつかある。いずれも敷地は広く、平日にのんびりと過ごす人から、休日には仲間でワイワイと過ごす人たちまで、憩いの場所となっている。
続いて向かったのは宮ヶ瀬ダムだ。ここは、相模川ではなく、ゆくゆくは相模川へと合流する中津川に位置する首都圏最大級となる多目的ダム。近隣にある相模湖、津久井湖とは異なり、ダム湖周囲に広々とした自然公園を備えており、少々大げさな表現にはなるがリゾート的な側面も持っている。
ダムのことを学ぶなら、ダムサイトエリアにある「宮ヶ瀬ダム水とエネルギー館」を訪れるといい。ここのカフェでは、全国のダムでお馴染みのダムカレー(ご飯をダムに見立てて、カレーを堰き止めている)を味わうことができる。また、ダム建設によって沈んでしまった集落の様子を知ることができる「清川村宮ヶ瀬湖水の郷交流館」、郷土の情報を発信している「愛川町郷土資料館」など、宮ヶ瀬ダムを理解する上で、助けとなってくれる施設もある。もちろん、宮ヶ瀬ダムには、過去に紹介した公園もいくつかあり、ここだけで1日を過ごすことができる。
今回のドライブは、川沿いの道からワインディングまで、ドライビングを楽しむにはぴったりのコースを走った。N-BOXはNAエンジンながら頼もしいパワーを披露してくれただけではなく、さらに、快適性とハンドリングをハイバランスさせたサスペンションセッティングによって、軽乗用車とは思えぬ走りを見せてくれた。
最新型がデビューした際は、価格設定に割高感を覚えたかもしれないが、先進安全装備である「Honda SENSING」を標準装備(レス仕様もあり)しており、その内容もステアリングアシスト機能や、アダプティブクルーズコントロールといった、軽自動車に装備されるのはもう少し先と思われていた機能まで網羅しており、さらに助手席スーパースライドシートといった実用性まで考慮すると、逆にリーズナブルにすら思えてくる。
ドライブデータ
試乗車=ホンダ N-BOX G-EX Honda SENSING
パワーユニット=ガソリン658cc、FF、CVT
乗車定員=4名
全行程走行距離180㎞
立ち寄りスポット[マップコード]
・相模原市立史跡田名向原遺跡旧石器時代学習館[251 418 062*43]
・相模川ふれあい科学館アクアリウムさがみはら[251 474 295*67]
・宮ヶ瀬ダム[251 435 609*48]
※「マップコード」および「MAP CODE」は、株式会社デンソーの登録商標です。
※ナビの機種によっては、高分解能マップコードに対応していない場合があります。
プロフィール
吉田直志/automobile columnist
四輪駆動車専門誌、デジタルカルチャー誌の編集部を経て、フリーライターに。現在は新型モデルの評価を軸に、自動車雑誌のほか、ファッション誌にも寄稿。
(本稿は2017年10月に新聞「週刊Car&レジャー」に掲載)